評者の好みを「★」の数で表してます。3つが最高。☆は半分。

「君は僕の宇宙」　さよならポニーテール

2018年2月リリースの5thフルアルバム（13曲収録）。いつものように5人のソングライターが楽曲を分担。本作ではなんといっても324Pの充実ぶりに惹きつけられた。オープニングこそ「ミスターさよポニ」ふっくんに譲っているものの最多の5曲を担当（うち1曲は前作収録曲のリアレンジバージョン）。どの曲もポップでリリカルでセンチメンタル。いずれもアルバムを牽引する重要楽曲だ。
M2「壁をぶちこわせ」は、ラップというよりはセリフに近い“おしゃべり”をフィーチュアしたカラフルで楽しいナンバー。でも、歌詞をよく聴くと「あなた/わたし」という人称がいつのまにか「きみ/ぼく」に変わっていたりして油断ならない。ぶちこわした「壁」というのはじつは「視点の壁」でもあるのだろうか？ 実験的という意味では、M8「恋はほうきに乗って」でも、オールディーズメロディーとテクノサウンドの融合という「発明」をさらっと披露。言葉遊び的な楽しさも耳に残る。
そして、アルバムのエンディングを飾る2曲。M12「青春ノスタルジア」の音楽に恋をした若き日々とそこから離れてしまった今。M13「メッセージ」の失われた時ともう会えなくなった人へのあふれる思い。それぞれが胸に痛く美しい。ふっくんの曲も含めて、ノスタルジーとセンチメンタルがテーマとなったアルバムではないだろうか。 ★★☆（2018/04/06）

「LOVE TO DIE」　POLTA

2018年1月リリースの3rdアルバム（10曲収録。フルアルバムとしては2作目）。楽曲はメンバー2人が5曲ずつ書いている。どの曲もPOLTAらしいテイストのギターポップサウンド。にもかかわらず、聴いていると、それぞれの個性の違いがはっきり浮かび上がってくるところがおもしろい。
本作でまず耳に残るのは尾苗さんのナンバーだろう。歌謡ポップス…といってもいいくらいキャッチーで甘く、哀愁味を帯びたメロディーに惹きつけられる。前作あたりではわりと洋楽テイストの清涼感あるメロディーが持ち味だったと思うのだが、本作では爽やかさはそのままに、メロディーが抜群においしくなっている！ 一方のふくだ氏は、マイナーで重めの味わいを持った曲が印象に残る。尾苗さんの歌謡ポップスに対して、こちらはフォークソングだろうか。聴き込むほどにじわじわくるエネルギーを感じるナンバーだ。10曲のうち8曲が2〜3分台の曲で占められている。このスピード感もとてもいい。聴きどころをぎゅっと圧縮したようなアルバムだ。 ★★☆（2018/04/06）

「Go Won」　LOOΠΔ

LOOΠΔ（イダレソニョ）2018年1月リリースの新メンバーはコウォン。予定されている12人のメンバーのうち11人目。プロフィールによると2000年生まれの現在17歳だ。
2曲収録のシングルでリード曲は「One＆Only」。クラブミュージックテイストのアーバンポップ。そこにまだ幼さの残るコウォンのボーカルが加わる。声の伸びや歌いまわしなど、ボーカリストとしてのポテンシャルを強く感じさせるタイプではない。でも曲がカッコいいし、何度か聴いていくうちにこれはこれでありかもね…という気分になってきた。C/W「See Saw」はコウォンとチュウのデュエット。さらにキムリップをフィーチュアリング。歌要員のメンバー2人を応援につけたということは、やっぱりコウォンちゃん、あまり歌は得意ではないのかもしれない…。 ★★（2018/04/06）

「My Story」　NAEUN＆JINSOL

APRILのメンバー、ナウンとジンソルによる派生ユニットの配信限定シングル（1曲のみ）。リリースは2018年2月。APRILではチェギョン＆チェウォンが2016年にデュエット曲「時計」を発表している。これはチェギョンの正式加入前だが、それに続く第二弾ユニットといっても問題ないだろう。
ゆったりした美しいメロディーを持つミディアムポップ。まだ始まらない恋にときめく少女の心の揺らぎをドリーミーなアコースティックサウンドにのせて歌っている。APRILの中では歌割が多い方のメンバー、ナウンとジンソルだけに、気持ちがこもった歌声は安心して聴けるね。穏やかな導入部のナウン、サビの高音部を一気にもっていくジンソル。それぞれの持ち味がよく出ている。シングルらしい華やかさ、派手さはないけど、テレビ番組で歌う機会もあまりなかったようだし、ファン向けと考えればこれでいいということなのかな。 ★★（2018/04/06）

「The Blue」　APRIL

2018年3月リリースのEP（5曲収録）。全体に春らしい明るく爽やかなテイストでまとめられた作品。リード曲は「The Blue Bird」。ストリングスの清涼感の中にほのかにただよう切なさのエッセンス。「APRIL STORY」「TAKE MY HAND」の流れの延長線上にある曲だろう。いずれも同じソングライターチーム、e.oneが手がけている。APRILといえばこういうサウンド…というブランドをしっかり印象づける曲になっているのではないだろうか。
C/W曲では、最後に収録されている「STAND BY ME」がいいね。ミディアムバラードのメロディーを次々と歌い継いでいくサビの盛り上がりが胸に響く。ただ、リード曲も含めてキラーチューン的なキャッチーさという点からはちょい薄味かも…という気も。春らしくふわっとしていて刺激は弱めというか。 ★★（2018/04/06）