評者の好みを「★」の数で表してます。3つが最高。☆は半分。

「カントリーロード/ヴィレッジ・ファーマシー」　平賀さち枝とホームカミングス

2018年1月リリースのEP（5曲収録）。平賀さち枝さんとHomecomingsのコラボ作品は、2014年の「白い光の朝に」以来で約3年半ぶり。前作は平賀さんのライブでの定番曲となっている。今作もたぶん良い感じなんだろうな…とリリースを楽しみに待っていた。
本作はダブル・リード曲仕様。「カントリーロード」は平賀さん作詞/作曲で、2014年9月のライブではすでに歌われている。ちょうど前回のコラボで活動していた頃だ。ファンにとってはすっかりおなじみとなっているこの曲を、爽快なギターポップアレンジで聴ける。悪かろうはずがない。ワンコーラスめは主に平賀さんがメインボーカルをとり、ツーコラースめで畳野さんにバトンタッチする。ボーカルが交替するととともにバッキングの雰囲気もがらっと変わり、あたかも目の前の景色が一気に切り替わるような鮮やかな展開をみせる。何度聴いても気持ちいい。大サビもとてもおいしい美メロづくしである。一方の「ヴィレッジ・ファーマシー」はHomecomingsのナンバー。「日本語詞で歌うホムカミ」を聴くことができる。こちらもとても新鮮だ。C/W曲もそれぞれに聴きどころがあり、二組のアーチストの相性の良さが感じられる。いつかコラボ第三弾、ぜひやってほしい！ ★★☆（2018/02/18）

「カリプソ娘に花束を」　Negicco

2018年2月リリースのシングル（2曲収録）。タイトル曲はウェディングソング…というか、嫁ぐことが決まった娘がお父さんに贈る歌になっている。Negiccoちゃんたちもこんな曲を歌う年齢になったんだな〜と感無量なファンも少なくないことだろう。内容がそういうメッセージソングなので、楽曲自体はあえて尖ったものにはしてない感じ。ミドルテンポの穏やかな曲調から、歌詞に込められた愛おしい思いが浮かび上がってくる。といっても、これでもかと感動を誘うようなサウンドではなく、カリプソ風味の小粋なアレンジでまとめているあたりがセンスの良さというものだろう。
C/Wの「本日がスペシャル！」はバースディソング。2曲あわせて「メモリアルディ曲特集シングル」になっている。こちらはいかにもNegiccoらしい元気な曲だ。作詞/作曲は両曲ともconnie氏。ある意味でローカルアイドルらしいほっこりした味わいに原点回帰したような盤ではないだろうか。 ★★（2018/02/18）

「Chuu」　LOOΠΔ

LOOΠΔ（イダレソニョ）2017年12月リリースの新メンバーはチュウ。愛嬌のあるファニーフェイスで表情豊か、人なつこくて愛想も最高…という、まさにザ・ナチュラルボーン・アイドルである。メンバー発表もそろそろ押し詰まってきた10人目にこんなすごい子が控えているとは！
リード曲は「Heart Attack」。コミカルなMVとの相性もいい楽しいポップ曲なのだけど、メロディーやサウンドはけっこう現代的で、メロディアスでありながら随所に技巧的なフレーズが散りばめられている、かなりテクニカルで難しい曲でもある。でも、それを軽々と歌いこなしてしまうチュウちゃん！ アイドルとしても一級品だが、ボーカリストとしてもなかなかのものではないだろうか。多士済々のイダレソニョメンバーにも今までいなかったタイプ。ファン急増中というのもわかる気がするね。C/W「Girl's Talk」はイヴ＆チュウのデュエット曲。R＆B要素強めのEDMでこれぞLOONAという雰囲気の楽曲。クールでカッコいい。第三ユニットも相当期待できそうだ。 ★★☆（2018/02/18）

「Gemini」　WHY＠DOLL

ほわどるのステージを初めて見たのは2014年8月。それからかなり時間はたったのだが、最近改めて注目している彼女たちの既発フルアルバム2作を一気にチェックしてみた。
本作は、2016年2月リリースの1stアルバム（14トラック・実質13曲収録）。インディーズからメジャーに移り、洗練されたシティポップサウンドへと生まれ変わった新しいほわどるを一枚に目いっぱい詰め込んだ…そんな感じの作品。最近のライブでも聴くことができるおなじみのナンバーがたくさん収められているし、アッパー曲中心で全体に勢いとエネルギーが感じられる。欲をいえば、アイドルっぽい声質と歌唱をカバーすべく、バックトラックに「全部乗せ」的な過剰感が出てしまっているところが惜しかったかな。何か一つ「引き算」が成立したサウンドの方が断然好みなので…。とはいえ、リリースから約2年間も寝かせてしまったことになるけど、改めてしっかり聴けたのは良かったね。 ★★（2018/02/18）

「WHY＠DOLL」　WHY＠DOLL

続いて2017年8月リリースの2ndアルバム（10曲収録）。セルフタイトル作品である。本作の特色は、シティポップサウンドを基調としつつ、中盤以降にミドルテンポの大人っぽいナンバーを固めていること。前半で「これぞほわどる」というアッパー曲を聴かせた後、そのポテンシャルをより広げる楽曲を後半で次々と展開してみせる。とりわけ印象的なのがラスト3曲。M8「夜を泳いで」は、とてもリアルな等身大のボーカルに思わずはっとさせられる。ティーンエイジャーのアイドルとはまた違う20代の女性の息づかい…とでもいったらいいのか。何度も繰り返して聴きたくなる。M9「Hello Hello Hello」は前後と何の脈絡もないアコースティックなフォークソングだが、これがまた素晴らしい。「オーガニックガールズユニット」を名乗る彼女たちの本来の持ち味はこれだろう！…と言いたくなるような新たな魅力があふれている。この路線でのアルバムをぜひ聴いてみたいね〜。M10「恋はシュビドゥビドゥバ！」もトイポップという雰囲気の天真爛漫さに惹きつけられる。…シティポップだけにこだわらない、新しいサウンドの世界への扉を感じさせる、そんな一枚ではないだろうか。 ★★☆（2018/02/18）