評者の好みを「★」の数で表してます。3つが最高。☆は半分。

「シュガー*シュガー/バブルバスガール」　＠17（あっとせぶんてぃ〜ん）

2017年11月リリースのシングル（2曲収録）。前作「セブンティーンパフェ」がけっこう好きな仕上がりだったので、同じくカジヒデキ作曲/プロデュースの本作も期待できるんじゃないかな…と思いながら聴いてみた。結論からいうと、期待以上、さらにパワーアップしたメッチャ楽しい作品になっていた。
「シュガー*シュガー」は、雪を砂糖になぞらえた冬仕様のラブソング。かわいさ全開の乙女チックな歌詞は、前作に引き続きかせきさいだぁ。詞・曲ともにオジサンだからこそ描ける甘〜い世界となっている。若い人だと逆に照れが入ってここまで徹底できないんじゃないだろうか。でも、それがメイドさんたちのドリーミーな存在感とぴったりマッチしている！ 一方の「バブルバスガール」は、バブルガムポップならぬ“バブルバスポップ”。お風呂で泡とたわむれる女の子を描いただけの最高にキュートな楽曲だ。1997年にカジ氏がテレビ番組「ポンキッキーズ」のために書いた曲のカバーだそう。オールディーズ風サウンドと「イェイ！」という女の子たちのかけ声の相性の良さにひたすら悶絶…。大所帯グループの楽しさを改めて感じさせてくれる一枚だ。 ★★☆（2018/01/31）

「Vani Best II」　バニラビーンズ

18曲収録のベストアルバム（2017年12月リリース）。バニラビーンズにとっては2010年以来、約7年ぶりのベスト盤。代表曲に加えて、新曲「時計じかけのワンダーランド」と小西康陽リミックスで生まれ変わった「東京は夜の七時」も収録されている。ここではこの2曲の感想を書いてみよう。
「時計じかけのワンダーランド」は、バニラビーンズらしい爽やかなポップ曲。ユニットの10周年を意識した歌詞で、あちこちにこれまでのシングル曲のタイトルが散りばめられている。「東京は夜の七時」は、リミックスというより“新アレンジ”という感じかな。かつて彼女たちのライブに何度か登場した「コドモビーンズ」を思わせる子ども声のコーラスが印象的。本来の都会的な雰囲気からちょっとズラした新たな洒脱さを感じさせる。全体的には「すでにどっぷりファンです」という人よりも、比較的新しい、あるいはライトなリスナー向けの盤だろう。 ★★（2018/01/31）

「ネッコ〜わたしのモノ〜」　バニラビーンズ

2017年12月に配信限定でリリースされたシングル（1曲のみ）。この曲の最大の特徴は、歌詞が全編「韓国語」だということ。しかし、K-POPのカバーとかではなく、完全なオリジナルである。また、ほとんど告知なし、プロモーションなしなので、それなりに彼女たちをウォッチしているファン以外は、リリースされたことすらも知らない可能性も否定できない。さらにいえば、韓国語のためライブで再現するのもハードルが高いようで、これまでのところステージで披露した例もないようだ。
そんな謎に満ちた曲なのだが、サウンドはスウェディッシュポップテイストのバニラビーンズ調で、聴き込んでいくと、ほのぼのとした味わいがじわじわ沁みてくる感じ。昨今、巷では若い女性中心にK-POP人気が再燃しつつあるともいう。そのへんのトレンドに乗っていこう…という試み？なのかもしれないが、いかんせん趣旨説明などがなさすぎて、ファンにとっても「宙に浮いた一曲」となっているのではないだろうか。 ★★（2018/01/31）

「WINGSCAPE」　脇田もなり

2017年11月リリースのシングル（2曲収録）。表題曲のサウンドは「ブラジリアンフュージョン」。サンバのリズムとシティポップを巧みに融合させている。完成度はとても高いね。ボーカルもトラックのクオリティーに負けていない。個性的な声質とパワフルな歌唱。「アイドル性の高いソロシンガー」というフォーマットの魅力を存分の味わうことができる。欲をいえば、歌詞にもう少しストーリー性があればより覚えやすく歌いやすい楽曲になったかも…という気もしないでもないが、あえてサウンド一発で勝負！ということで、そのへんにはあまりこだわらなかったのかもしれない。C/Wは、表題曲を手がけた冗談伯爵のカバー。ただし、歌詞は女性シンガーにふさわしいものに全面改訂しているそう。サウンドの充実ぶりはもちろん、そのあたりのきめ細かい心遣いもとても良い。 ★★☆（2018/01/31）

「Yves」　LOOΠΔ

LOOΠΔ（イダレソニョ）2017年11月リリースの新メンバーはイヴ。通算だと9人目。新しい第三のユニットも彼女から始まることになる。
収録されている2曲のうちリード曲は「new」。公式には「ソウルトロニカ」（ブラックミュージック＋エレクトロニカ）ということだが、ざっくりいえばEDMかな。ゆったりとしたマイナー調でミステリアスな響きが印象に残る。ボーカルはクリアでありながらどこかに哀愁を含んだ声質。けっこう難しい曲だと思うのだがしっかり歌いこなしていて安定感もある。シンガーとしてのポテンシャルはかなり高そうだ。
C/W「D-1」は、このところのイダレソニョのカップリングでは、もはや定番といえそうなR＆Bテイスト強めのナンバー。これくらいのクオリティーの曲が軽くさらっと出てくるところが、このプロジェクトの奥行きの深さなのだろう。 ★★☆（2018/01/31）