2008/05/17　KAT、alan、moumoon　新宿 タワーレコード（インストア）

エイベックスの新人アーチスト3組が出演したインストアイベント「The Session Vol.1〜Acoustic Girls〜」。3組とも女性ボーカルということで、やはり男性客中心にかなり多くのお客さんが集まってましたね。

○「KAT」　彼女のライブを見るのは9カ月ぶり2回目。アコースティックギターによる弾き語り。オープニングは、たしか前回聴いた時にも歌っていた「なごり雪」のカバーから。彼女にとっては自分のルーツといってもいい曲なのだそう。歌詞の半分くらいを英語化した独自のバージョンなんだけど、「♪動き始めた汽車のWindowに〜」みたいな訳し方なので、ちょっと（ルー大柴の）ルー語っぽい感じもあったりする。個人的にはやや微妙だったかも…。2〜3曲目はオリジナル。この日出演した3組の中では、彼女目当てのお客さんが一番多かったのでは…というくらいの人気ぶりだった。全3曲、約15分。

○「alan」　前回も同じ新宿タワーレコードのインストアで聴いていて、この日は2回目だった。バックトラックを使った1人でのステージ。セットリストも前回同様、「ひとつ」「東京未明」「明日への讃歌」…の3曲だった。1曲目に入る前に先日彼女の出身地である中国・四川省を襲った大地震による災害の話を少しした。幸い彼女自身の家や家族はみんな無事だったらしく、「心配してくれた皆さん、ありがとう…」と感謝の言葉を述べてから歌い始めた。歌唱としてはほぼ完璧であったが、しかしその歌のどこかに心の揺れが表れているような気もした。2曲目を歌い終ったところで、「でも、まだ心配です…」とポツリと言った。それを聞いて彼女の気持ちが痛いほど伝わってきた。地元の人が何万人も亡くなっているというニュースに接して、普通の人間なら平常心でいられるわけなどないのだ。飛んで帰って何でもいいから手伝いたい…という思いもあるかもしれない。でも、そんな時でも歌うしかないのが、歌の道を選んだ人間の宿命というものであろう。彼女もおそらくそのことは分かっている。まだ日本語で細かいニュアンスや思いを伝える技術を持っていないから、言葉では「でも頑張ります…」としか言えないけど、最後に歌った「明日への讃歌」は、そんな彼女の愛と平安への願いをこめた渾身の歌となっていたのではないだろうか。前回は、生硬さが気になる…などという感想を書いたこの曲だけど、この日の彼女の歌を聴いて「これはこれでアリかな…」という気がした。約20分。

○「moumoon」　「ムームーン」。女性ボーカル＋男性ギターの男女2人組ユニット。ぱっと聴くと癒し系、リラクゼーション系の音楽かな…と思わせられるミディアムナンバーが多いんだけど、メロディーにはアメリカのフォークソングみたいな洋楽っぽさもあり、意外に骨っぽい。また、女性ボーカルは基本サワヤカ系ではあるんだけど、くっきりした輪郭としなやかな強さを持った声質で、スレンダーなルックスとはうらはらにパワーもしっかり感じさせられた。1〜2曲目が比較的洋楽風味のあるナンバーで、3曲目に歌った6月リリースの新曲「Tiny Star」がJ-POP風なメロディーを持った曲だといえそうだ。ユニット名に「moon（月）」がつくということで、毎月満月の夜に新宿のカフェでライブを行っているとのこと。機会があれば一度聴いてみたいものである。約20分。

各アーチスト3曲ずつ。ショーケースとしてはちょうどいい長さかも。終了後、3組がステージに再登場して告知や挨拶などを行っていた。インストアとしては珍しいけど、カーテンコール的趣向でお客としてはうれしい感じです。

開演18時05分→終演19時15分。

2008/05/14　笹川美和、美郷あき、SHUUBI、SeanNorth、阿部真央　渋谷 DUO Music Exchange

SHUUBIさん、笹川美和さん…といったところがお目当てで行ってみたイベント「あしたのために その1」。タイトルの由来は「あしたのジョー」でしょうか？ その他の3組の出演者は、いずれも初見でしたが、すべて女性ボーカル系アーチスト…ということで、けっこう新鮮に見させていただきました。

○「阿部真央」　オープニングアクトで3曲。アコースティックギターでの弾き語り。MCによれば、大分県出身の18歳で、この春高校を卒業したばかりとのこと。現在は上京して音楽活動を行っているのだそうだ。いきなりガツン！と歌いだすパワフルなボーカルがまずは印象的。中音域主体の歌声は野性味たっぷりで、途中で弦を切ってしまうほどの強力なギターのストロークとともに、生命力とたくましさを感じさせる。この日は時間が短かったこともあって、ひたすら押しの一手だったかも。楽曲では、1〜2曲目に歌ったマイナー調の情念系ナンバーに持ち味がありそう。物おじしない、しっかりしたトークにも雰囲気がある。約20分。

○「SeanNorth」　「シャーンノース」。女性ボーカル、アコースティックギター、ギター/バイオリン/ピアノ…という男女3人ユニット。サウンド的にはアコースティックを基本として、オリエンタルなテイストが加わったフォークから、ちょっとゴスペルっぽいポップ曲まで幅広い。全体的な印象は、すごくまじめなバンドという感じだろうか。個人的には、ちょっとキレイにまとまりすぎてるような気がして、いまいちおもしろさを感じる前に終わってしまった印象。約30分。

○「SHUUBI」　この会場ではちょいちょいやってるSHUUBIさんだけど、個人的にはDUOで見るのは初めて。ギターの石崎光氏との2人でのステージ。最初、石崎氏だけがステージに登場しギターを演奏し始める。浮遊感のあるサウンドに導かれてSHUUBIさん登場。ピアノの前に座って、1曲目は「かぞえうた」から。アコースティックアレンジなので、ややテンポを落とした感じだろうか。「知りたい気持ち」はホノボノ系のミディアムナンバー。彼女にとっては新鮮な曲調だろう。3曲目はおなじみの「Niji」。ラストはギター（エレキ）だけの伴奏で「ママ」だった（先日が母の日だったことにちなんで）。MCで「今日はびっくりするくらい短い時間ですが…」と話してたんだけど、さすがに4曲は短い印象。トークがいつもより長めだったとはいえ、正直もうちょっと聴きたいな…という食い足りなさ感は残った気がした。また、このところバンドでのパワフルなライブに接する機会が多かったせいか、この日のアコースティックアレンジでのステージに、いまいち意図が見えにくい気もした。時にはこういうゆるい感じの日があってもいいのかもしれないけど…。約30分。

○「美郷あき」　「みさと・あき」さん。CDでも聴いたことがなく、もちろんライブもこの日が初見。ソロシンガーで、サポートにはアコースティックギター、パーカッション、キーボード。4人でのステージ。曲の雰囲気は、シティポップ系ニューミュージックかな。声質やボーカルの雰囲気などは松田聖子をはじめとする歌謡曲〜アイドルポップ…の系譜を感じさせられる。個人的にはけっこう好きだなぁ、こういう感じ。でも、MCによるとベストアルバムをリリースしてるくらいキャリアのある人なのに、今までまったく知らなかったのはなぜだろう…。と考えてると、一部のお客さんがオタ芸の一種である「捧げ」をやってるのを発見。てことは声優かアニメ系の人なのかな…と思って、自宅に戻って調べてみたらやはりそうだった。アニメの主題歌などを中心に歌ってる人みたい。いや〜、アニメ業界も奥が深いなぁ。(^v^) 約25分。

○「笹川美和」　彼女のライブは約2年ぶりで4回目。意外と回数は聴いてないんだけど、1回ごとのインパクトが大きいせいか、もっと行ってるような気がしてた。笹川さんピアノの他に、サポートでアコースティックギター。2人での演奏。セットリストは、「笑」「金木犀」「髪」「氷砂糖」「止めないで」…全5曲だった。久々に聴いたんだけど、やはりこういう強力なオリジナリティーを持ってる人はオーラが違うね、という気がしてしまう。日本の原風景を思わせるようなその歌声、シンプルな言葉の積み重ねがこれ以上ない力を生んでいくその楽曲。いいわ〜。特にこの日は、ピアノとアコギだけという編成が、いかに彼女の音楽にぴったりかということを実感させられた。これまでリリースされてきたCDは、かなり音を加えて工夫したアレンジが施してあったと思う。それはそれで効果的だったけど、こうして聴くと、彼女の音楽には余計な修飾はいらない！…という思いの方が強くなってしまうのだ。6月にはライブ会場限定で新作CDを発売するそうだけど、できればこの日のようなシンプルなサウンドで彼女の歌を聴きたいものだ。約25分。

出演者の音楽性も様々だし、1アーチストあたりの持ち時間も短め。つまりはショーケース風イベントって感じだったのかな。SHUUBIさん＋笹川美和さんというだけで、かなりの動員を予想してたんだけど、意外と会場内は余裕で、テーブルと椅子が間隔を空けて配置されてる…という状態でした。ギュー詰めよりはいいけど、ちょっと不思議な気もしましたね。

開演19時→終演21時50分。

2008/05/11　池上ケイ、星村麻衣、RYTHEM　五反田 G SQUARE

池上ケイさんと星村麻衣さんのダブルお目当てで行った「音霊 OTODAMA PHOTO STUDIO vol.51」。このシリーズへの参加は2回目でした。前回は比較的ゆったり聴けた記憶があったのですが、この日会場に入ってみるとすでに相当なお客さんで盛況。しかも、女性アーチスト3組出演ということで95％が男性という感じでしたね。

○「池上ケイ」　ライブを見るのは約半年ぶりで5回目（berry時代も入れれば17回目）。この日はサポートのピアノとの2人でのステージ。前半はケイさんもアコースティックギターを演奏しながら歌う。「Grow」「Daisy」…といずれも力強く躍動感のある2曲。後半はハンドマイクに持ち替えてピアノだけの伴奏で。曲は、「咲きましょう」「ひとひら、ふたひら」「とどかない涙」…とじっくり歌い上げるスローナンバー3曲の特集となっていた。全5曲。とにかく、現在の彼女の歌は本当に充実していると思う。艶やかできれいに伸びる声質、感情表現の豊かさ。どの曲も思わず聴き入ってしまった。個人的には前半に歌ったようなダイナミックな曲をもっと聴きたかった気もしたけどね。都内でのライブも増やしてほしいんだけど、今はどちらかというと地方を回るプロモーション活動に力を入れているようだ。MCでも、「今日の昼間は群馬まで行ってたんですけど、あいにくの雨でイベントが中止に…」といったエピソードを紹介。「その分、ここで弾けますよ！」と、なぜかこれまでに見たことがないくらいにハイテンションだった。けっこう珍しいノリ。(^v^) 衣装は、リリースされたばかりの新曲「ひとひら、ふたひら」のジャケットデザインにとても似た黒地に花の絵のワンピース。大人っぽくて似合ってましたね。時間が短く感じられた充実したライブでした。約30分。

○「星村麻衣」　前回聴いたのもこの「音霊」のイベントだった。そんな彼女のライブを見るのは約3カ月ぶりで7回目。オープニングはピアノ弾き語りで「桜日和」「Your Dream」…とスローナンバーを2曲続けて。後半はアコースティックギターのサポートを加えて2人での演奏となる。「Primacy」「EVERY」とおなじみのナンバーのあと、ラストは6月リリース予定の新曲「regret（リグレット）」だった。「これは今までにない強いメッセージを込めたいと思って作った曲…」と紹介してたけど、その通り、別れた彼が幸せになって欲しいなんて思えない…という失恋の本音を歌った内容になっている。ミディアムテンポでメロディーも印象に残る。良い曲だと思った。この日は全体的に安定したステージで、彼女らしさも十分に感じられた気がする。1曲目の後、ピアノのペダルに不具合が発生するアクシデントがあった時には、「いやぁ、どうしましょう…」と言いながらもゴールデンウィークに地方でイベント出演した話などでうまくつなぐ。「MCは苦手なんで…」と言ってたけど、もうちょっとだけ頑張れば十分うまい方に入るんじゃないですか？ 約40分（←アクシデント含め）。

○「RYTHEM」　ライブを見るのは3回目。ボーカル/アコースティックギター＋ボーカル/キーボード。メンバー2人での演奏。やはりトリを飾るだけあってファン多数。一番お客さんが多かったかもしれない。やはり彼女たちの持ち味は、ツインボーカル…というよりも「コーラス」といった方がぴったりくる2人の歌だろう。息もぴったりだし、素直できれいな曲との相性も良い。個人的には若干きれいすぎる気もしてしまうのだけど、それでも「万華鏡キラキラ」「ホウキ雲」といった曲は悪くないと思った。本編35分＋アンコール1曲で約5分。

3組出演でしかもそれぞれ30分のステージ。対バンイベントとしては短めのライブでした。21時前終了ってのは珍しいかも。若干聴き足りない気がしないでもないし、各アーチスト40分ずつくらいやってくれたらうれしいんだろうけど、日曜日だから早めに終わるのもありかな…などとやや複雑ですね。(^v^;;

開演18時30分→終演20時50分。