2009/05/08　寺尾紗穂　新宿 タワーレコード（インストア）

4thアルバム「愛の秘密」のプロモーションイベント。CDを聴いたのをきっかけに行ってみました。4作目ということでも分かるように、十分な実績を持つアーチストですが、これまではなぜかご縁がなくライブもこの日が初見。平日ながら19時30分という遅めの開演時間ということもあり、かなり多くのお客さんが集まっていましたね。

ステージはピアノ弾き語り。1人での演奏だった。インストアなので当然エレピである。寺尾さんはそのピアノの前に独特のちょこんと座るような姿勢で位置につき、ごく自然な感じで歌い始めた。セットリストは、やはり新作アルバムからのナンバーが中心。「夕まぐれ」「月の海」「口の角」「アジアの汗」「お天気雨」「愛の秘密」…の全6曲。ただし、4曲目に歌った「アジアの汗」（だっけ？タイトルいまいち曖昧）だけは、新しいアルバムにも収録されてない新曲ということだった。
初めてライブで聴いた第一印象は、CDとの差をほとんど感じさせないボーカル、ピアノのスタイルだということだった。何度もテイクを重ねることができるCDに近いということは、パフォーマンス的に安定した上手さがあるということだし、同時にCDの音もそんな彼女らしさをあまり加工しないでパッケージ化することをコンセプトとして制作されているのだろう。
一方、やや気になったのはエレピの音の歪みやPAだろうか。もともとインストアイベントにそのあたりのクオリティを求めてはいけないわけだけど、寺尾さんのとても繊細なピアノやボーカルを聴いているうちに、ぜひアコースティックピアノ、かつ音響の良い環境で聴きたい音楽だと改めて思わされた。ミディアムナンバーが中心なのだが、知らず知らずのうちに音楽に引き込まれていく感じ。ちょっと大貫妙子さんを思わせる声質もクセになりそうだ。
音楽自体は非常に表情豊かなのに、歌っているスタイルは淡々…という雰囲気で、こちらは笹川美和さんなどを連想した。ストレートのロングヘアのせいもあるかもしれない。MCは簡単な曲紹介くらい。新曲「アジアの汗」については、「学生時代に山谷で知り合った人のことをイメージして作った曲…」とのこと。歌詞の内容は、日本の建設現場で働くアジア人労働者のことを歌ったものだ。このように曲の世界が幅広いのも彼女の魅力の一つではないだろうか。約28分。

やはり非常に実力派のアーチストという印象を強く受けたイベントでした。声質のせいもあるでしょうが、何を歌っても透明感があってクール、ベタベタした感じにならないのが大きな持ち味ではないでしょうか。また機会があれば聴いてみたいものです。

開演19時30分→終演19時58分。

2009/05/06　CHIX CHICKS　秋葉原 石丸電気SOFT2（7Fホール）

特に新譜のリリースなどに絡むものではありませんが、イベント（ミニライブ＋CD即売＋握手会）があるということで行ってきました。彼女たちのライブを見るのは約1年ぶり。前回見てからメンバー1人が卒業し、現在のチックス・チックスは5人編成となっています。この日は2回ステージで、私が見たのは2回目の方でした。

イベントホールの前半分だけ椅子が出ている感じのセッティング。定刻10分前くらいに入場してみると、その椅子席がほぼ埋まるくらいお客さんの数だった。バックトラックを使ったメンバー5人でのステージ。全員おそろいの明るい金髪のウィッグ＋カラフルな色違いのワンピース、カラータイツ、ブーツ…というスタイル。ちょうど1年前の「エレチックス」のライブでのイメージにほぼ近いものだろう。MCによると、「1回目は地毛、2回目はウィッグにしてみました…」とのことだった。
セットリストは、1曲目の記憶が曖昧なので2曲目以降、「Type on me」「ABBAメドレー」「Shining Star」「愛のコリーダ」…の全5曲。「Shining Star」では、サビの振り付けをお客さんに教えて一緒に踊ったりする。サウンド的には、カバー曲がエレチックスっぽいアレンジ、オリジナルが「Birthday Eve」でのアレンジ…という感じだっただろうか。エレポップを意識したライブという印象は比較的薄いものだった。そういう意味では聴きやすくもあり、同時にセットリストがおなじみのナンバーばかりだったこともあって、久しぶりに見たわりにあまり新鮮味を感じなかった、というのも正直なところだった。クオリティーの高いしっかりしたパフォーマンスだっただけに惜しい…とも思った。
以前から書いていることだが、個人的には、彼女たちが今このカバーを歌うことに、ほとんど意味を見出せないでいる。たしかに、前身の「BJ Girls」としてのルーツはジャズでありスタンダードだったのかもしれないが、チックス・チックスに生まれ変わったと同時に、より彼女たちの個性を引き出すオリジナル曲を前面に押し出していくはずではなかったのか…という気がするからだ。事実、この日のライブでもオリジナルの2曲の方が断然映えていたように思った。
また、メンバーそれぞれにしっかりしたキャラがあるのに、同じような衣装や個性を消すようなメイクで統一しているのもよく分からないところだ。ちなみに、メンバーはみんな元気そうだったし、持ち味であるボーカルもきっちり聴かせていたと思った（MCもワイワイ楽しそうだった）。それだけに、帰り際にもらったフライヤーにあった「現在今夏リリース予定のシングルをレコーディング中！」という一文が気になるところだろう。どういう方向性でくるのか、楽しみでもあり心配でもある。全5曲、約30分。

気になるといえば、チックスのエース的存在である水橋舞さん。この日のステージを見る限り、かなりふっくらしてなかっただろうか。気のせいならいいのだけど、夏の勝負曲リリースまでには絞り込んだ方がいいかもよ〜。

開演16時→終演16時30分。

2009/05/06　Tomato n' Pine、hy4_4yh　秋葉原 LIVE PARK IN AKIBA

ゴールデンウィーク最終日はトマパイが出演するという「Akihabara Girls Meeting 2009」に参戦。会場の「LIVE PARK IN AKIBA」は、旧サトームセンビルの1階をイベントスペースに転用した場所です。開演10分前くらいの現地到着だったので、かなり後方からのお立見に。お客さんぎっしりでとても熱気あるイベントでしたね。

○「hy4_4yh」　「ハイパーヨーヨ」。女性3人組のいわゆる秋葉系アイドルユニットで、そっち方面ではかなりメジャーな存在ながら、個人的にはこの日が初見。曲もまったく知らなかったので白紙の状態から聴いた。全曲バックトラック使用。全員鮮やかなオレンジ色のツナギ＋同色のキャップというスタイル。1曲目は比較的ポップ色の強いアッパー曲で、3人が交互にソロを取ったりコーラスで歌ったりする。2曲目以降もスピード感のあるアニソン系、あるいは元気系、盛り上げ系のアイドルチューンが中心…という印象だろうか。客席のファンにも一緒に振りをさせたり、タオルを振り回させたりする。メロディーとか内容云々ではなく、とにかくいかに盛り上がれるか…を主眼に曲が作られてる感じ。残念ながらツボにはこなかった。ちょっとおとぼけ系のMCも持ち味みたいだけど…。全4曲、約20分。

○「Tomato n' Pine」　バックトラック使用。2人だけでのステージ。オープニング曲のイントロが聴き慣れない。「ん？新曲なのか…」と周囲のトマパイファンの間にも一瞬ざわめきが走る。しかし、振りのポーズは「Life is Beautiful」のもの。どうやらこの日のステージのために新しくリミックスしたトラックを作っていたようだ。いつものように楽しい振り付けで楽しいパフォーマンス。曲終わりから2曲目への流れもこれまでと違い、ノンストップのニューアレンジになっている。曲間でそれぞれ自己紹介。これがピタッと決まればかなりカッコよかったと思うんだけど、残念なことに小池唯さんのインカムマイクにトラブル発生。音が出ない！ しかしトラックはノンストップ。まさに「the show must goes on」…というわけで、そのまま2曲目の「今日ゎ帰りまぁす」に突入していく。はからずもボーカルが「かぶせ」であることが露呈する結果となったわけだけど、まあそのへんはそう問題ではないだろう。3曲目「Unison」では、ステージ袖から小池さんにハンドマイクが届けられ、それを持って歌う。全曲が終わってから改めて自己紹介をやり直すこととなったのだった。
さて、結果的にはマイクトラブルのために狙ったのとはかなり違うステージになってしまったのだけど、予定通りにちゃんと出来ていたら、この日のライブはトマパイ史上に残るクールなパフォーマンスになっていたのではないだろうか。曲間のつなぎのアレンジ、全曲歌い終った後の音の処理…など、改めてしっかりした音響のハコで聴いてみたいと思わせられるカッコよさがあった。このあたりは、さすがアゲハスプリングス…という感じ。時間的には短かったけれど、非常に密度の高い意味のあるライブだったと思う。全3曲、約15分。

イベントはこの後も続いており、他にも何組かが出演予定でしたが、私の方はトマパイ終了時点で撤収させていただきました。そのトマパイに関しては、まだ持ち歌が3曲しかないわけですが、早めに5〜6曲にしてライブハウスなどにも出演できるようになってほしいですね。その日が今から楽しみです。

開演14時30分→2組目終了15時15分。