2013/01/12　辻詩音、星村麻衣、中野斗愛　吉祥寺 SHUFFLE

2013年の初ライブは、辻詩音×星村麻衣のツーマンイベント「夢色草」（オープニングアクトあり）。2人とも好きなアーチストですが、星村さんに関してはけっこう見てない期間が長く、なんと約2年半ぶり。この日のチケットはすでにソールドアウト。満員が予想されましたが、整理番号がわりと良かったので早めに入場。結果的にはこれが大成功で、ステージが低めで見やすいとはいえない会場のわりに、ほぼストレスなく見ることができましたね。

○「中野斗愛」　オープニングアクトは「なかの・とあ」さん。アコースティックギターでの弾き語り。1人でのステージ。3曲だけだったし、あまり印象に残らなかったのが正直なところ。曲は普通だし、ボーカルはピッチがやや甘いような気がした。フランクな雰囲気のMCはしゃべり慣れてる感じだったけど、もう1曲多く歌った方がアピールできたのでは？ 全3曲、約25分。

○「星村麻衣」　自身のボーカル/ピアノとサポートでアコースティックギター、パーカッション。3人でのステージ。ギターはおなじみの古賀プロデューサー。パーカッションはドラムスといってもいいようなしっかりした音を出していて、小編成ではあるもののけっこう重量感のあるサウンドだった。セットリストは、「好きなんです」「Honey」「恋愛ビギナー」「EVERY」「regret」「（新曲：タイトル未定）」「GET HAPPY」「共鳴」「My World」…の全9曲。2012年リリースの最新アルバム「evergreen」からのナンバーを中心に新旧の曲がバランスよく配置されてる感じ。
全体的な印象としては、いい意味で変わってない部分と、しばらく聴いてなかった間に深みが加わった部分が両方感じられ、非常に聴き応えと新鮮味のあるライブだった。変わってないところは、やはりその楽曲の良さとボーカルの安定感だろう。ソロの女性シンガーソングライターは数多くいるけど、聴きやすく耳に残るメロディーをコンスタントに書ける人は本当に少ない。そういう意味では、彼女はポップス好きにとってはすごく貴重な実力の持ち主だと思う。特に、「evergreen」に収録されている曲をライブで聴くのはこの日が初めてだったこともあり、改めてその良さを感じさせられた。タイトル通り、流行に左右されない彼女ならではの曲という言葉がぴったり。さらに、新曲（タイトル未定）も初披露。ポジティブで明るいアップテンポのナンバーなんだけど、夏に向けてリリースしてほしいような楽しい曲に仕上がっている。ここはお客さんもクラップで参加。普段は面倒なのであまり手拍子とかしない私も追わずクラップ！ もちろん、その他の曲もどれもじっくり聴けてとても良かった。
そして、深みが加わったと感じられたのは、歌の表現もさることながら、曲とトークをうまく織り交ぜて進めるステージ運びのうまさだろうか。かつては「MCは苦手で…」みたいなことを言ってたものだけど、今はもうそんなことはまったくない感じ。古賀Pとのかけあいも呼吸ぴったり。楽しいお正月トークでは、島根の実家に帰ってのんびりしたよ…という話題など。「お餅は食べたの？」というファンからの問いには、「お餅は嫌いなんで食べてません。お雑煮にも入れないように頼んでるので…」と意外な嗜好が判明。でも、ちょっと顔が丸くなってるような気がしたのは、おいしいものいっぱい食べたせいだろうな…。
発表事では、ブラジルの音楽イベントに招待された…という話など。「こんなことがなかったら、一生ブラジルなんて行かなかったんじゃないかなぁ…」と言いつつも楽しみにしてる様子。飛行機を乗り継いで片道最短でも28時間かかるとのことで、気をつけて行ってきてほしいものです（時期についてはこの日は言ってなかった）。ちなみに星村さん、2013年は厄年だそう。でも、女性にとって気になる年齢の話題をステージでさらっと言ってしまえるあたりからも、彼女のさばけた魅力が感じられて良かったと思った。
2010年6月のワンマン以来、約2年半もごぶさたしてたんだけど、この日は本当に聴けて良かったと思えた。曲数、時間ともたっぷりで素晴らしく充実した時間となった。全9曲、約67分。

○「辻詩音」　自身のボーカル/ギター（アコースティックとエレキを曲によって持ち替え）に加えて、サポートでギター、ベース、ドラムス。4人でのステージ。セットリストは、「愛がほしいよ」「デジタルモード」「Breathe with you」「衝動ジェット」「Candy Kicks」「コインロッカーボーイ」「sky chord」「I can feel」「タイムマシーンに乗って」「Runaway」「17」、アンコールで「M/elody」…の全12曲。
ライブを見るのは、12月のBOXX以来なので約1カ月ぶり（通算だと19回目）。実は前回、なんとなく不完全燃焼のまま終わっていたため、この日もステージが始まるまでは、ちょっと心配な気持ちもあった。これは辻さんがどうというよりも、聴き手としての自分が彼女の音楽に飽きてきているのかも…という気がしていたからだ。でも、結論から先に書いてしまうと、この日は前回よりはずっと素直にライブを楽しんで聴けたと思った。曲数が前回にくらべて1.5倍、満員のお客さんを前に辻さん自身もすごく気持ちよく演奏していた…などいろんな要素はあるだろうが、ともかく気持ちよく聴けたのは良かったと思った。
この日は、全体的にトークなどは少な目で、曲をどんどん歌っていくというスタイルだったと思う。その集中している感じがよい方向に作用していたのだろう。序盤からバンドサウンドで突っ走った後、6曲目の「コインロッカーボーイ」だけはアコースティックギターの弾き語りで歌う。バンドをいったん下げ、ステージで1人になった彼女。ここは少しMCの時間があり、初めてこの会場（SHUFFLE）で自主企画イベントを行った時のこと、当時ほとんどのライブでは1人で弾き語りをしていたこと…などを語る。初の自主企画というのは、私も聴きに行った2007年10月のライブのことだろう。
後半の「タイムマシーンに乗って」はギターを持たずハンドマイクで歌う。本編最後の「17」はコール・アンド・レスポンスの煽りでスタート。この日ぐらい満員だと煽りもいい感じ。サビではお客さんがタオル回しで盛り上がる。アンコールでは、2日前（1/10）が彼女の誕生日だったことを知っているファンから「おめでとう」の声。でも、「そうです、23歳になりましたよ！」と答えるぐらいで案外さらっとしてる彼女。大人っぽい対応だったな。そういえば顔もちょっとすっきりして大人の女性らしくなってたような…。全12曲、約58分。

そんなわけで、いい感じに聴けたライブだったんだけど、気になったところがないわけじゃない。それは新しい曲が聴けなかったこと。「I can feel」は、2008年1月のライブから歌っている曲だし（歌詞は新しくなっているという話をネットで見たけど）、実質的に最新の「タイムマシーンに乗って」も2012年1月のワンマンで披露した曲。よりキャリアの長い星村麻衣さんのセットリストの半分が、この1年以内に発表した曲で占められていたのと比べても、新曲を生み出していくペースがちょっと遅いのではないだろうか。それに、辻さん自身も10代から20代へと大きく変化している。10代とは違う感性で曲が書けるタイミングじゃないかという気もするしね。いろいろ事情はあると思うけど、ファンとしてはぜひ頑張ってほしいところだ。

終演後はビールを飲みつつ物販の様子をしばらく見てました。星村さんをこんなに間近で見たのは初めてかも。そういえばMCで島根の話をけっこうしたわりに「くにびき大橋」が聴けなかったのはこの日の唯一の心残り…。一方の詩音さんとはフロアですれ違ったんだけど、けっこう身長ありますよね。ヒールじゃないスニーカーでも160センチ台後半？…という気がしたけど、実際どうなんでしょうか。

開演18時40分→終演21時36分。

2012/12/24　Tomato n’ Pine　新宿 タワーレコード（インストア）

12/29のワンマンライブをもって「散開」することが決まっているトマパイのラストフリーイベント。「クリスマスイブの午後8時58分」スタートというのは、もちろん「ジングルガール上位時代」の歌詞にちなんだ粋な設定です。個人的にはワンマンのチケットを押さえられなかったため、生のトマパイを見ることができる最後のチャンス…ということで行ってみました。

タワーレコード7階に到着したのは定刻10分前くらい。すでにお客さんはいっぱい！ ステージ前に行ける整理券を持ってないので、もう最後列でもいいや、その場にいたことに意味があるんだぜ…ぐらいの気持ちでいたんだけど、かろうじてステージの雰囲気ぐらいはつかめる位置を確保できた。5分前になると司会の人が登場して軽く前説。「今日は開始時刻を絶対押せないイベントなので…」と2分前ぐらいからNTTの時報を流してカウントダウン。ラスト10秒はお客さんも一緒に秒読みしてのスタートとなる。
定刻ぴったりにトマパイのメンバー3人がステージに登場。セットリストは、「ジングルガール上位時代」「雪がふるから…」「大事なラブレター」「ワナダンス！」…の全4曲。これはシングル「ジングルガール上位時代」に収録されているC/W曲も含めた3曲＋「大事な…」ということになり、まさにクリスマスイブにふさわしい選曲だった。
曲に関してはもう今さら言うこともない感じ。「ジングルガール…」ではやはりセリフのパートが盛り上がってたよね。YUIさんの「マルッ！」まできちんと収まって良かった。1曲歌ったところでMC。主にクリスマスについてのトーク。散開については、もうみんな知ってることだよね…という感じで改めての説明や挨拶的なものはない。でも、それもまた湿っぽくなくて良い感じ。ともすれば脱線しそうになる2人をコントロールして全体を仕切ってたのはHINAさん。
「雪がふるから…」「大事なラブレター」のダンスは主にモニターを通して見ていた。YUIさんが勢いをつけてクルッと回るところがいいな。…なんて思ってたら、振りが元気すぎたのか、YUIさんのアクセサリー（腕輪？）が思い切り飛んでしまうハプニングも、最後まで素人くささが抜けない感じで、なんかトマパイらしかった。ラストの「ワナダンス！」では、WADAちゃんの「Are you ready？」にあわせてお客さんみんなで「Yeah〜！」。何回聴いても素晴らしい曲。最後がこの曲でよかった…。
インストアイベントだから、あれも聴きたいこれも聴きたい…というわけにもいかず、最小限のセットリストだったけど、なんだか妙に充足感があった気がした。4曲で30分以上ということはトークもたっぷりあったということで、直接散開に触れることはほとんどなかったけど、ワンマンに行けないファンとの最後の時間としても良いイベントになったのではないだろうか。全4曲、約32分。

2人体制だったシーズン1のけっこう初期からファンだったし、なくなると思うとやっぱり惜しいトマパイ。このところ、アルバム「PS4U」は本当にヘビーローテーションで聴いていて、改めてその名盤っぷりに脱帽してたりもするしね。でも、アイドルユニットというのはこの儚さが宿命でもある。残されたキラーチューンの数々はいつまでも大事に聴いていきたいと思っている。

開演20時58分→終演21時30分。

2012/12/23　Negicco　新宿 タワーレコード（インストア）

この日2本目のアイドルイベントはNegicco。ライブDVD「Negicco ワンマンライブ -BEST of Negicco- @渋谷SOUND MUSEUM VISION」のプロモーションイベントですが、4日前のUNITでのライブで初披露した新曲（2/13リリース予定）が聴けるかな…という期待で行ってみました。後楽園から移動してみると、12時からの回の握手会がまだ続いています。そんなこんなで、14時から予定されていた2回目のイベントはやや押してのスタートとなりました。

メンバー3人でのステージ。セットリストは、「Winter Wonderland（スタンダードのカバー）」「For a Long Time」「Anniversaries」「愛のタワー・オブ・ラブ（新曲）」「トキメキ・マイドリーム」「圧倒的なスタイル」…の全6曲。
出てくると最初に自己紹介するのはNegicco流。「まずはクリスマスにぴったりのこの曲から…」という前振りで歌い出したのはクリスマスの超定番曲。ぴったり…というより、クリスマスソングそのもの。2曲目、3曲目も、オリジナル曲の中でもしっとりしたミディアムナンバーを続けて歌っていく。このあたりは、「盛り上がるぜ〜」という勢いで集まったお客さんにとっては、微妙に肩透かしをくらったような雰囲気だったかも。実はこの選曲の背景には、ワイヤレスマイクの機材トラブルがあり、どんどんフォーメーションを変えていくような曲ができないため…でもあったとのこと。
とはいえ、後半はやはり盛り上がるアッパー曲に。その最初が新曲「愛のタワー・オブ・ラブ」。タイトルは前回の「あなたとPop With You」に続く「言葉かぶり」、あるいは「日本語＋英語での回文」シリーズだろうか。西寺郷太氏によるフロア仕様ナンバー。これもやっぱりライブハウス＋大音量で聴きたい曲。第一印象としては、ポップなキャッチーさにはやや欠けるかなという気もしたけど、リミックスとか何種類もつくって遊べそうな曲でもある。音源がリリースされたら聴き込んでみたい。
そのまま終盤の盛り上がりパートへ。ラストはお約束の「圧倒的なスタイル」でのラインダンス。前半がおとなしめの曲だった分をここで取り返すべく、ファンも気合十分。私が見ていたのは人が2人ぐらいしか並べない通路みたいなスペースだったんだけど、そこでもけっこうやってる人いたよ。タワーレコードのフロアが文字通り揺れていた！ 全6曲、約31分。

このところイベントにあまり行けてなかったため、この日が約10カ月ぶりのNegicco。いちおうCD関係は押さえてたのですが…。でも、やっぱり生で見るNegiccoのステージは楽しいな。この日もイベントスペースに入りきれない人が売り場にまで溢れているような状況。人気も底堅い感じです。

開演14時09分→終演14時40分。