2014/08/19　the peggies、イツエ、吉澤嘉代子、バンドじゃないもん　下北沢 GARDEN

「Beat Happening！GREATEST SUMMER PANIC！」。ペギーズは3月以来、吉澤嘉代子さんは2013年6月以来…ということで、今どんな感じなのかけっこう楽しみにしていました。平日の下北沢。でも、お客さんはほどよい入りという感じでしょうか。それぞれタイプの違う出演者を集めた、いわば「幕の内弁当」的なイベントでした。

○「the peggies」　ライブを見るのは約5カ月ぶりで7回目。メンバー3人での演奏（ボーカル/ギター、ベース、ドラムス）。前回見たのは女子高生バンドとしてのほぼ最後の時期（3月）で、現在は進学して女子大生バンドとなっている彼女たち。ステージを見ての第一印象は…ゆうほさん、ミクさんはあまり変わってない気がしたけど、ベースのマキコさんは見違えてしまった。金髪ショート（ウィッグかもしれないけど）でメイクも大人っぽい感じに。華やかでいいんじゃないかな〜。
セットリストは、「MOTTO」「どきどきレボリューション」「BOY MEETS GIRL」「JAM」「ちゅるりらサマフィッシュ」「メロディーメーカー」「僕らの戦争」…の全7曲（ファンツイート参照）。
おなじみの曲にまじって、この日は「最近レコーディングしてた新曲です…」というナンバーが2曲。「BOY MEETS GIRL」と「メロディーメーカー」だ。まず「BOY MEETS GIRL」は、ギターのみの伴奏で歌うパートからスタートするナンバー。細かい歌詞は聴き取れなかったけど、タイトルから判断して前向きなラブソングかなと思った。なんとなく「ほのぼの」とした気分を感じた。「メロディーメーカー」は一転して鮮やかな疾走感のあるナンバー。ゆうほさんの曲らしく途中でテンポが変わって大きくスローダウンするなど起伏のある曲だけど、メインの部分の爽快感はやはり印象に残る。キャッチーな楽曲＋ちょっとラフだけどそこが味になってる演奏。ペギーズらしさが十分に感じられたステージだった。
最後の曲にいく直前、ドラムスの機材トラブルか何かで急遽MCをはさむことに。ここでのゆうほさんの対応も落ち着いててさすが。普段ツイッターやブログでは毒を吐きまくってる彼女だけど、ステージだけ見てると本当に素直だし大人だし良い子ってイメージしかない。まあ、でもそういう二面性もアーチストらしい要素の一つなのかも。レコーディングしていた…ということは作品づくりも進んでるみたいだしそのへんもかなり楽しみ。全7曲、約40分。

○「イツエ」　予備知識なしでの初見。この日唯一の初めて見るバンドだったわけだけどかなり印象に残ったステージだった。女性ボーカル、ギター、ベース、ドラムス…の男女4人組バンド。オープニングは幻想的なミディアムナンバーから。途中からヘヴィーなサウンドを伴った美しいバラード曲となる。ステージが始まって間もないこのあたりで、いきなり「こ、これは…」と惹きつけられてしまう感じ。そのサウンドの中でもっとも印象的だったのは、何といってもボーカルの存在感だろう。透明感のあるきれいな歌声と重量感のあるバンドのサウンドに負けない力強さ、ドラマチックな楽曲を歌いこなす豊かな情感…それらがすべてそろっている。したがって、楽曲もまた彼女のボーカルを生かすということを最大限に意識してつくられている気がした。Salyuなどの雰囲気をもう少しロック寄りに振った感じだろうか。ダイナミックでありながらメリハリも効いており、なおかつ繊細さもある。後半はアッパーな曲中心だったけど、どれも聴き応えがあった。
楽器担当のメンバー（いずれも男性）はそろって上背があり、演奏している様子などを見ていると少女マンガに出てきそうなバンド…といったイメージ。ビジュアル的にもカッコいいな〜。機会があればまた聴いてみたい。全7曲、約34分。

○「吉澤嘉代子」　ライブを見るのは約1年2カ月ぶりで4回目。ボーカル/アコースティックギターでの1人でのステージだけど、基本的に全曲バックトラックも併用。その音出しも自身でやっていた。セットリストは、「未成年の主張」「恥ずかしい」「チョベリグ」「ケケケ」「シーラカンス通り」「東京絶景」「美少女」…の全7曲。1stミニアルバム「魔女図鑑」から10月リリース予定の3rdミニアルバム（メジャーでは2nd）「幻倶楽部」までの三作からまんべんない選曲という感じだろうか。
けっこうお久しぶりでライブを見た印象からいうと…「なんか芸風が濃くなってる！」ということ。冒頭の「未成年の主張」「恥ずかしい」と続くあたりの初期曲は、以前もライブで聴いてるのだけど、その頃よりもさらに芝居がかってきてる印象。さらに、「チョベリグ」「ケケケ」といった新しい曲は、ギターを置いてハンドマイクで歌う。「ケケケ」はアレンジが戦隊ヒーローものの主題歌風で歌詞の内容も「体毛」について。途中からフロアに降りてきてお客さんをかき分けながら歌うシーンも。「シーラカンス通り」はGS風サウンドが印象に残る。全体的には個性的だし楽しいんだけど、ちょっとだけ「無理してなきゃいいんだけど…」という気もした。まあ、この日見た限りでは振り切れてたんで、問題ないんだと思うけどね。あと、50's風のサウンドはやっぱりバンドの生演奏で聴いてみたい気も。リッチで楽しそう。全7曲、約34分。

○「バンドじゃないもん」　10日前に見たばかりのバンもん。この日もお客さん多かったわ〜。メンバー6人でのステージ。ボーカルに加えて楽器を担当する3人のうち、実際に音が出てたのはみさこさんのドラムスだけだったかもしれない。ベース、ショルダーキーボードはそれを持つのが「振り」の一部みたいな…。
1曲目からMIX発動。その後もサークル、リフトケチャ（みさこさんの衣装と同じコスのファンをみんなで担ぎ上げる）、最後の曲ではヘドバンからのモッシュ…。でもドラムが生音というのはやっぱり迫力あっていいものだ。生理的に盛り上がるものがある。理屈抜きに楽しんだもの勝ちだよね。ここの時間帯は中段まで下がって見させていただきました（それまではわりと前の方で聴いてた）。全6曲、約31分。

物販のテーブルを見てたら前日ライブを見たばかりの「みるきーうぇい」も。「急遽出ることになったのかな…」と思ってたのですが最後まで演奏なし。あとでツイートを確認したら、開演前の弾き語りOAだったみたい。けっこう定刻ギリギリに入ったので、その時にはもう終わってたんですね。それが聴けなかったのは残念だったけど、全体的にはバラエティ豊かで楽しいイベントでした。

開演19時05分→終演22時05分。

2014/08/18　群青シンパシー、sympathy、みるきーうぇい、イロメガネ、RETO　渋谷 O-Crest

女性ボーカルのバンド5組出演のイベント「flowering」。イロメガネ全国ツアー最終日ということで行ってみました。イロメガネ以外のバンドはすべて初見。お盆休みが明けたばかりの月曜日…ということで、一般的にはぐったりしてておかしくない日だったわけですが、中盤以降はけっこうお客さん多かったですね。

○「群青シンパシー」　女性ボーカル/ギター、キーボード、ベース、ドラムス…の男女4人組バンド（ドラムスも女性）。マイナーメロディー、リリカルなミディアムナンバー、ピアノが前面に出たアレンジ…などが持ち味だろうか。楽曲そのものも「バンド的」というよりも「シンガーソングライター的」といいたくなるような雰囲気。MCの言葉づかいがすごく丁寧。まじめなバンドという印象だけど、なにかもっとダイナミズムのようなものが欲しい気もした。全6曲、約32分。

○「sympathy」　「シンパシー」は高知の女子大生4人組バンド。たまたまみたいだけど、同じような名前のバンドが続くことに。ボーカル/ギター、ギター、ベース、ドラムス。東京でのライブはこの日が初めてだそう。見た目はあっさりした衣装のおとなしそうな女の子たちだけど…1曲目の音がガツッと出たとたんに印象が変わった。「いいんじゃないの、これ！」。骨太なロックサウンドと要所で巻き舌な歌い方を入れてくるボーカル。ギャップがいい方向に作用している。曲はギターのリフが効いてたりどこかブルースっぽかったり。メロディーの途中にブレイクが入る曲がけっこうあった気がするんだけど、作曲してる人のクセなのかも。でも全体的にはロック的な楽しさがあってかなりいい。ボーカル以外のメンバーはあまり動かずに淡々と演奏。でも煽ったりしなくても曲・サウンド自体に力があるからこれでいいんだろうな。とても新鮮に聴くことができたステージ。全5曲、約21分。

○「みるきーうぇい」　大阪を拠点に活動してる男女3Pバンド。女性ボーカル/ギター、ベース、ドラムス。平仮名で「みるきーうぇい」なんてかわいい名前にもかかわらずサウンドは爆音系。このバンドもまずはギャップが印象的なのだった。かき鳴らすという言葉がぴったりのギターとパワフルでエモーショナルなボーカル。ほとんどのナンバーがアッパー。でも、楽曲自体がメロディアスなのでうるさい感じはまったくしない。和メロやポエトリーリーディング的なアクセント、起伏のある組曲風アレンジ…など、曲ごとに違う色合いを持たせているところも聴き飽きない要素になっている。歌詞の内容は閉塞的な状況や生きにくさを歌いながら、それでも前を向きたい…みたいな感じだろうか。爆音なので歌詞が聴き取れる部分は限られていたけど、そんな思いは伝わってきた。ボーカル/ギターは全身黒ずくめの衣装でステージングもこなれている。カッコいいバンドだと思った。全5曲、約30分。

○「イロメガネ」　ライブを見るのは約1カ月ぶりで2回目。この日は全国ツアー最終日でバンドセットでの出演。東さんのボーカル/ギター、サポートでギター、キーボード、ベース、ドラムス。5人での演奏。セットリストは、「嘘吐きバレリーナ」「ひとりじゃ」「こわい」「思春期」「ブラックバードを歌って」「なによりも、へいおんを」「3連符4拍子」…の全7曲（東さんのツイート参照）。
前回は持ち時間も20分と短めで4曲だけのステージだった。その意味では対バンライブの標準的な30分ステージをバンドセットで聴けたのがまずよかったかな。聴きはじめるきっかけになったミニアルバム「お花畑につれてって」からのナンバーも3曲やってくれたしね（前回は1曲だけ）。
オープニングはアルバムから2曲続けて。CD自体もバンド感を生かすようなアレンジ、サウンドだけど、やはり実際のステージだとリズムなどもはるかにダイナミックに響いてくる。このへんは素直にライブで聴けてよかった〜という感じ。この日初めて聴いた曲は3曲。「こわい」は不協和音を使った不穏なサウンドが印象的。「思春期」は一転してリリカルなヘヴィーバラードに。最後の曲だった「3連符4拍子」は、沖縄あたりのお囃子に似たリズムが耳に残った。祝祭性が感じられる曲でラストナンバーにふさわしい感じ。前回も聴いた曲では、その前に演奏した「なによりも、へいおんを」の後半どんどん高まっていく雰囲気がよかった。まさにライブのハイライト。一緒に全国を回ったというバンドとのコンビネーションもキマってた。全7曲、約32分。

○「RETO」　「レト」は女性ボーカル/ギター、ギター、ベース、ドラムス…の男女4人組バンド。前半はポジティブな爽やか系ロックという雰囲気。聴き心地はやや軽め。ところが、後半になるとすっきりした味わいはそのままに、サウンドはよりシャープでダイナミックなものへと変化していく。この後半にやっていた曲はどれも聴き応えがあった。ボーカルはややハスキーな声質だけど、きれいに伸びるパワフルなもの。中盤にやった重量感のあるミディアムナンバーなどにもばっちり映えていた。リリカルな曲、マイナー調の曲などがとくに似合ってたんじゃないだろうか。全6曲、約30分。

お目当てだったイロメガネも2回目、それ以外のバンドはすべて初見…という、全体的にとても新鮮なイベントだったわけですが、とくに「sympathy」「みるきーうぇい」の2組の印象が強かったですね。くしくも高知、大阪からという遠征組のバンド。アウェーだからこそ自分たちの持ち味をすべて出してやろうという強い気持ちが出ていたのかもしれません。良かったです。

開演18時40分→終演21時45分。

2014/08/17　エレクトリックリボン　新宿 タワーレコード（インストア）

8/13リリースのシングル「波音チューニング」のプロモーションイベント。定刻10分前くらいに会場に着いてみるとちょうどリハ中。お客さんはイベントスペースがほぼ埋まるくらいの感じかな。比較的見やすい位置で聴けました。

ライブを見るのは約4カ月半ぶりで12回目。若干ご無沙汰してた感じだけど、この間に新メンバーとなるアズミさんの加入と、2010年からボーカル＆きれいどころ担当として活動してきたナオミさんの8月一杯での引退が発表されてたりする。順番からいうと、新メンバー追加のニュースが先だったので、最初は「4人組として活動していくのかな」と思ってたのだけど、結果的にはナオミさんの後任という位置づけだったようだ。この日はそんな過渡期のエリボンを見る貴重な機会となった。
メンバー4人でのステージ（ボーカル×3、マニピュレータ/ボーカル×1）。サウンドは全曲バックトラック使用。セットリストは、「あなたにキッス」「波音チューニング」「夜風の歌」「恋するリオロイド」「星屑ハイランド」…の全5曲。
オープニングの「あなたにキッス」はいつもの3人でのパフォーマンス。登場曲にあわせてお客さんにクラップさせる。ほどよく温まったところで曲スタート！ 2曲目からアズミさんが加わり、ここから4人体制での新生エリボンに。新曲の「波音チューニング」はエリカさんが大きくフィーチュアされているナンバーだ。歌い出しも彼女のソロパートから。レコーディングは4人で行ってるそうだけど、9月以降のナオミさんのいないエリボンを意識した構成になっているのはすぐにわかる感じ。曲調は勢いのあるサマーチューンど真ん中。「夜風の歌」は新曲のC/W曲。ライブではもうかなり前からやっていた曲だ。ここでは残りステージもあとわずかとなったナオミさんにファンから盛大なケチャが捧げられる！ 後半はラテンリズムの「恋するリオロイド」を経て、ラストは「星屑ハイランド」で盛り上げ。ファンもみんな腕クルクル！ 全5曲、約28分。

ナオミさんのステージは、彼女がエリボンに加わった直後の2010年9月にたまたま見たのだった。キャンドルズのライブに1曲だけ飛び入りで演奏したのがたぶん最初だと思う。エリボンが活動を一時休止していた時にあすすと一緒にニコ生をやったのとかも印象に残っている。この日は最後のライブまでまだ半月近くあるということで、いつもの彼女らしい明るいステージだったと思った。最後まで思い切りエリボンでの活動を楽しんでほしいな。
一方、後任となるアズミさん。彼女については初見だったんだけど、まだちょっと固かったかな。早くメンバーにもファンにも慣れてほしいものだ。そして、今後のエリボンのおそらくフロントの顔となるエリカさん。今まで「おもしろ担当」としてかなり自由だった彼女が、エリボンの顔になってどう変わるのか？ あるいは変わらないのか？ こちらもけっこう目が離せないところ。あすすの舵取りにも注目したい。

開演18時02分→終演18時30分。