2017/06/03　ラッキーオールドサン　下北沢 shelter（ワンマン）

4月リリースの2ndフルアルバム「Belle Epoque」のレコ発ワンマン「佳き時代に生まれたね」。全国ツアーの東京編。アルバムはリリース直後に買って聴いていた。とてもいいアルバムだったこともあり、そのレコ発ライブもとても楽しみにしていた。この日の会場はそう広くないshelter。余裕を持ってやや早めに出かける。おかげで4〜5列目くらいのまあまあ良い位置で聴くことができた。ほぼ満員だったけどギュウギュウ詰めというほどではなく、見やすいライブだったんじゃないかな。

この日は二部構成。前半はメンバー2人だけでのアコースティックデュオ。後半がバンド編成。さらにゲストプレーヤーも招いて賑やかなステージとなる。セットリストは、前半が「坂の多い街と退屈」「時々」「ゴーギャン」「Railway」「夢でもし逢えたなら」「（新曲）♪遠い空の向こう側〜」「夜汽車は走る」…の7曲。後半は「さよならスカイライン」「写真」「フューチュラマ」「あくび」「ベイスサイドストリート」「すずらん通り」「ツバメ」「I want you baby」「ミッドナイトバス」、アンコールで「坂の多い街と退屈（再）」「TOKYO CITY BRAND NEW DAY」…の11曲。前後半あわせて全18曲。

前半はメンバー2人でのステージ。ボーカル/タンバリン、ボーカル/アコースティックギター/ハーモニカ。前半は篠原氏がボーカルに加わる曲がわりと多かったかな。ナナさんのタンバリンもシンプルなサウンドの中でけっこういいアクセントになっている。
全曲ミディアムアレンジ。音源では軽快な曲という印象が強い「ゴーギャン」もじっくり聴かせる雰囲気になっている。「夢でもし逢えたなら」だけはバイオリンを加えた3人での演奏に。短めの曲なのにゲストを呼んでいてちょっと贅沢な仕様。6曲目に歌った新曲は1月頃に作った曲だそう。後半ぐんと広がっていく感じが新鮮だった。知らず知らずのうちに引き込まれていて、7曲（約40分）があっという間。こういうアコースティックサウンドのラッキーオールドサンもこれはこれでいいな…と思わせてくれた前半だった。

約10分の休憩を挟んで始まった後半は、サポートバンドを加えて。5月に見たインストアイベントの時と同じくメンバー2人＋ギター、ベース、ドラムス。曲によってキーボード、バイオリンが加わる。最大7人でのステージ。篠原氏もギターをセミアコに持ち替えている。
こちらは、まさにアルバム「Belle Epoque」の世界を再現する躍動感のあるステージだったね〜。待ってました！…という感じ。おそらくレコーディング、ライブツアー…とずっと一緒に活動しているバンドメンバーなので呼吸もぴったり。素晴らしいサウンドに時間が経つのを忘れた。とりわけ印象的だったのは、やはり田中ヤコブ氏のギター。1970年代の空気をじわりとよみがえらせるようなリリカルなサウンドとフレージング！ 熱さを内側に閉じ込めたようなラッキーオールドサンの曲との組み合わせは絶妙としかいえない。アルバムを代表するナンバーでもある「すずらん通り」を初めて聴けたのもうれしかったな。改めて本当にいい曲だ。
アンコールは2回。一回目はフルバンドで「坂の多い街と退屈」をリプライズ。オープニングにやったアコースティックバージョンとは当然のことながら雰囲気は一変。どっちもいいね！ そしてダブルアンコール「TOKYO CITY BRAND NEW DAY」は再度2人だけのアコースティック編成で。同じ曲を最初と最後に違う演奏スタイルで聴かせ、最後の最後はオープニングと同じスタイルに戻って終わる。ステージに物語性を感じさせる、とてもよく考えられたアンコールという印象を受けた。

■レコ発ライブらしくNEWアルバム収録曲10曲はすべて演奏。このへんをきっちり押さえてくれるのはやっぱりうれしいね。
■ナナさんのボーカルは、アコースティックでもバンドでもサウンドにしっかりフィットして、抜群の存在感。決して歌だけが前面に出てくるタイプではないだが、常にサウンドの中心には彼女の歌があることが、何の不自然さもなく受け入れられてしまうような、そんな個性と魅力を持っている。とても聴きやすくて、いくらでも聴いていたくなるような歌声だと思った。
■呟くように小さい声で話す篠原氏とニコニコしながら軽く合いの手を入れるだけのナナさん。決してMCが得意とはいえないグループだけど、この日はワンマンということもあって、比較的いろいろ話してくれたね。「曲はいくらでも出来るという体でやってまして…」と量産への自信ものぞかせていた篠原氏。また、現在は2人とも仕事を辞めて音楽活動に専念しているそう。「声が出なくなっても音楽を続けていきたい」と長く活動することをこれまた静かに誓っていた。
■「よく何を考えてるのかわからないと言われるんですが、今ものすごくテンション上がってます…」とフルメンバーがそろったステージ上で淡々と話す篠原氏。感情が表に出ないタイプだよね〜。でも、そういう人の方が曲に思いを込めることが出来たりするのが創作のおもしろいところでもある。
■篠原氏が「ポール・マッカートニーは3、4時間のステージでも水を飲まないらしいですね」と言いながら自分はちょいちょい飲んでいるのに対して、ナナさんは「それって飲むなってことですか？」と言いつつ、本当にライブ中一度もドリンクを飲んでなかった。もともと飲まないタイプなのかな？
■全18曲、約2時間（休憩、アンコール含む）。

個人的には「アルバムの出来からして大勢のファンが押しかけて超満員になるかも…」という心配までしてたのだけど、現実はまだそこまで浸透はしていないようだった。多くの人がわっと飛びつくような音楽ではないのかもしれない。しかし、本当に良いグループだということがワンマンを聴いて改めて感じられた。これからも息長くじっくりいい作品を創り出してほしいね。

開演19時08分→終演21時08分。

2017/05/28　バニラビーンズ　渋谷 Glad（ワンマン）

「バニラビーンズ定期公演 vol.2 〜Road to 10th Anniversary〜」。3月に続いての2回目。この日も一部はトークライブ、二部が通常のライブ…という二部構成だった。参加したのは夜のライブの方のみ。入場してみるとフロアは前回よりもやや混んでいる印象。ただ、開演10分前くらいに前回は関係者席だった二段目が一般のお客さんに開放され、めざといファンはすかさずそちらに移動していた。上手側にいたのでその動きには乗り遅れてしまう。まあ、一段目からでもステージはよく見えたから問題なかったんだけどね。

登場曲が終わり、1曲目（「KIDS」）のイントロが始まってもなかなかステージに現れないバニラビーンズ。ちょっとした焦らし作戦かな。衣装はこの日も新しいもの。ワンマンはけっこう新衣装のお披露目が見られるのでうれしいね。
メンバー2人でのステージ（全曲バックトラック使用）。セットリストは、「KIDS」「Night on the Earth」「チョコミントフレーバータイム」「マスカット・スロープラブ」「Say Goodbye」「サカサカサーカス」「プリーズミー・ダーリン」「BOYZ＆GIRLZ」「スタイル・アンド・カウンシル」「Lady Survivor」「ビーニアス」「東京は夜の七時」「有頂天ガール」「sweet life」、アンコールで「ニコラ」「Summer vacation」…の全16曲。

一部のトークライブでしゃべりすぎてしまい、「二部はもうMCなしでやる！」と宣言したらしいけど、そうは問屋が卸すはずもなく…。普通にライブとトークの混じったいつものバニラビーンズのワンマンだった。比較的コンパクトな空間に、集まっているのはバニラビーンズのファンばかり。しかも、一部（トークライブ）には来ていたチョイワル社長も帰った後…ということで、よりのびのびした雰囲気でのアットホームなライブになっていたんじゃないかな。
音楽的な面では、オープニングの「KIDS」が新鮮！ 久しぶりに聴いた気がした。カバーなので全編英語。ここは真っ赤な照明で非常に強い印象を残す。2曲目になると、さっと明るく青い照明に変わり、表情が一変するところもいい。特に凝ったセットも何もないステージなんだけど、なかなか鮮やかな出だしだったと思った。
後半は前回にはあまりなかったアッパー系の曲を多めにチョイス。夏を感じさせる「プリーズミー・ダーリン」からタオルを振り回す「BOYZ＆GIRLZ」、さらに音圧を一段上げて盛り上げる「ビーニアス」「東京は夜の七時」「有頂天ガール」…というライン。すっきり発散できるセットリストという感じでフロアからもけっこう声が出ていたね。アンコールの最後は「サマバケ」。今年もこの曲を聴ける季節が来たのね〜と感じたファンも多かったんじゃないだろうか。

■新しい衣装は「水色とピンク」がベースになった初夏を感じさせる爽やかなワンピース。最近のバニラビーンズの路線でスカート丈は膝あたりだ。アラサーだから…ということみたいだけど、「坂道系」グループの影響なんかもあるのかな。ちなみに「裏地が肌に触れる部分がかゆい…」と奇妙な動きをしてみせるレナさんがおもしろすぎる！
■4曲目終わりで最初のMC。ここでいきなり「Tシャツが売れてない」と商売の話を始める。遠慮がなくていいわ〜。買ったよという前列のファンに、「何で着てないの？ 着ようよ〜」とその場で生着がえを要求。ファンもそれに応えて着替えるあたりもバニビ現場らしくていいね。
■「BOYZ＆GIRLZ」で、「さあ、皆さんタオルの用意はいいですか〜」と言いながらレナさんが取り出したのは「掟ポルシェタオル」。「探したんだけどバニラビーンズのタオルが見つからなくて…」。この日は掟さんは来てなかったようだが、絆が感じられる小ネタであった。
■次回定期公演の日程も発表。Vol.3は8/19（土）。「次は一部で何する？」という話題に。トークライブも二回やったので新企画をやりたいみたい。「リクエストライブとか良いと思うんだけど…でもリクエスト募っても来ないんだよね、なんで？」とファンに問いかける。これまでにもアンケートなどをやって反応が鈍かったらしい。そうなの？という感じ。私はできるだけ協力してるけどね…。控えめなファンが多いのだろうか。
■その流れで、「次がたぶん私の20代最後のワンマンになるんだよね…」としみじみするレナさん。思い切り年齢晒してるのだが、ファンも織り込み済みだから何の反応もなし。「バースデーライブやればいいじゃん」と持ちかけるリサさん。しばらくバースデー企画の話で盛り上がる。レナさんはかなり乗り気だったので9月には生誕イベントとかあるかもね。ちなみにリサさんは「私のはやらなくていい！ 自分が中心になるのってダメなの…」とのこと。さらにレナさんの妹の結婚式の話題など。
■アンコール1曲目は「ニコラ」。定番曲というだけでなく、この日はリサさんの「バニラビーンズ加入9周年」（5/20）ということでの選曲だったよう。個人的にバニラビーンズを初めて見たのは、そのリサさん加入から約1カ月後の2008年6月（＠高円寺HIGH）。つまり自分にとってもバニラビーンズ9周年…。いつもより感慨深い「ニコラ」となった。
■発表事がもう一つ。7月にそれぞれのソロ曲が配信リリース決定してるそうだ。レコーディングも進行中。しかも、セルフプロデュース楽曲だそう。詳細は追ってとのこと…。
■全16曲、約1時間47分（アンコール含む）。

若干気になったのは、「ビーニアス」くらいからPAの音量がぐんと上がり、盛り上げたいのはわかるんだけど、やや音が割れて聴きづらくなっていたような気も…。すっきりした良い音でなおかつフロアの熱量を上げるようなサウンドだったらもっと気持ちよかったかもね。逆にいうとそれくらいしか気になるところはない安定して楽しめるワンマンだったと思う。次回も予定入れとかないと…。

開演18時30分→終演20時17分。

2017/05/20　ラッキーオールドサン　新宿 タワーレコード（インストア）

4月にリリースされた2ndフルアルバム「Belle Epoque」のプロモーションイベント。土曜の12時スタートという浅い時間帯のインストア。でもお客さんはけっこう集まってたね。…とはいっても、アイドル系などと比べると人の密度はゆるめ。定刻10分前くらいの会場着だったのだけど、3列目くらいのわりといい位置で聴くことができた。

アルバム「Belle Epoque」はリリース直後に入手して聴いていた。同作の特徴の一つはドライブ感のあるバンドサウンドを前面に押し出していることだろう。そんなわけで、この日もインストアイベントにもかかわらず、現在行っているツアーと同じバンド編成での出演となった。
メンバー2人（ボーカル、ギター/ボーカル）＋ギター、ベース、ドラムス。5人でのステージ。セットリストは、「さよならスカイライン」「坂の多い街と退屈」「あくび」「フューチュラマ」「ツバメ」「I want you baby」「ミッドナイト・バス」…の全7曲。
新作から4曲、過去作から3曲というバランスのよい選曲。それをバンドセットのサウンドできっちり聴かせる。ボリューム的にもサウンド的にも、ちょっとした対バンイベントの30分ステージをしのぐような充実した内容。でも、考えてみればツアーバンドと一緒のステージなのだから、それも当然のことなのかもしれない。いってみればツアーの「サワリ」を聴くことができたイベント…ということになるのだろう。新作収録曲だけでなく、過去作の曲もちゃんと現在のスタイルにバージョンアップされている。非常に聴きごたえがあった。
ラッキーオールドサンのライブを見るのは約2年ぶり（通算3回目）。一言でいえば力強さが増していた。繊細なメロディーや、映像が広がるような歌詞の世界はそのままに、それらを支える土台の部分がしっかりと充実しているのが伝わってきた。以前は篠原氏はアコースティックギターを弾いていたがこの日はセミアコ。メインボーカルのナナさんも甘酸っぱい声質は変わらないが、非常にしっかりした軸を感じさせる歌声になっている。バックバンドも、素晴らしいフィーリングで聴かせる田中ヤコブ氏のギターをはじめ、おそらく初期の頃からのメンバーだろう。ダイナミックで息のあった演奏に時間を忘れた。全7曲、約38分。

MCは必要最小限だったかな。おしゃべりがあまり得意ではないところは変わってないみたい。その中で6月に予定されているレコ発ワンマン（下北沢）の告知も。ツアー最終日。メンバー2人だけでのセット（おそらくアコースティック）とバンドセット、ラッキーオールドサンの両面が聴けるライブになるそうだ。もう予約は済ませているけど、この日のイベントを見てますます楽しみになってきた。

開演12時11分→終演12時49分。