2018/09/14　脇田もなり　渋谷 WWW X（ワンマン）

「Up and Coming 〜2ndアルバム『AHEAD!』リリース・ツアー・ファイナル＆脇田もなりソロ2周年〜」。開場は開演の1時間前。そこまで早く行っても仕方がないだろうと、定刻30分前くらいに入場する。お客さんの出足はまだ五分程度。余裕でステージからもまあまあ近い下手側に位置を取ることができた。その後、お客さんはどんどん増え続け、開演時にはほぼ満員になっていたのではないだろうか。

全編バンドセットでのライブ。脇田もなりさん（ボーカル）＋ギター、キーボード、ベース、ドラムス。ツアーを一緒に回ってきたおなじみのサポートバンド「Up and Coming」の面々だ。さらに3分の2以上の曲で、ゲスト・Smooth Aceの男女コーラスが加わる。7人でのステージ。
セットリストは、「Dear」「やさしい嘘」「愛のデカダンス」「EST!EST!!EST!!!」「PEPPERMINT RAINBOW」「遊星からのアイラビュー oh! oh!」「Gozigen Lover-Joi」「CUTi-BiL」「夜明けのVIEW」「走る僕」「青の夢」「TAKE IT LUCKY!!!!」「IRONY」「Callin' You」、アンコールで「IN THE CITY」「WINGSCAPE」、ダブルアンコールで「Boy Friend」…の全17曲。（ファンツイート参照）

アルバムレコ発ということで収録されている12曲のうち11曲を演奏。実はこの2ndアルバム、リリース直後に入手してざっと聴いていたのだが、諸事情により十分聴き込めないままライブ当日を迎えていた。つまり、シングル曲や過去にライブでやったことのある一部の曲以外は、ほぼ予習なしのぶっつけ本番で聴いたことになる。聴き込んで臨んだライブの方がより楽しめるのは間違いないと思うのだが、結果的には耳になじんでない曲が続くこともあまり気にならないくらいに惹きつけられながら聴いていた。
凝った演出などは一切なしに「歌」を聴かせることだけに絞り込んだシンプルなステージ。オープニングは比較的ゆったりした曲が並ぶ。メロディを強く意識させるナンバーでありながら、2ndアルバムの収録曲は、1stに比べてより骨太になっているというか、ポップな甘さをやや抑えた大人っぽさを感じさせる楽曲群になっている…そんな印象を受ける。4曲目からSmooth Aceの男女コーラスが加わるとサウンドは一気に色気と躍動感を増す。これまで聴いたことがないくらいソウルフルな「EST!EST!!EST!!!」に思わずニヤリとさせられ、都市型ポップスのもっともリアルな現在形といっていい「PEPPERMINT RAINBOW」を渋谷のど真ん中で聴ける幸せに陶然となる…。
そして、この夜もっとも印象に残ったのは、中盤で歌った「青の夢」だった。アルバムでは最後に収められているちょっとブルース風味の入ったポップ曲。それをまるで美空ひばりが乗り移ったようなジャジーな節回しで聴かせる！ CDでは聴けない、まさにライブステージならではのミラクルな瞬間ではなかっただろうか。ソロとして3年目に入る彼女の動きがますます楽しみになる、そんな充実したワンマンだったと思った。

■2ndの曲でもう1曲あげるなら、椅子に腰かけて歌った「CUTi-BiL」（くちびる）だろうか。さらっとした色気がなんともいえない。ちなみに、ツアー中に足の指を骨折していたはずだが、その後の曲ではピョンピョン飛び跳ねたりしていたので、もうほとんど完治したと思っていいのかな。
■新作中心のセットリストの中にあって、時折はさまる1stアルバム収録曲もけっこう存在感あったね。というか、曲ごとのそのはっきりした個性がいっそう際立って感じられた。「EST!EST!!EST!!!」「IRONY」「IN THE CITY」、そして「Boy Friend」。こういうポップめな路線も初期だけのものにしないでほしい。改めてそんな気もした。
■衣装は真っ赤なロングワンピース。よく見ると細かい黒のドットが入っている。色合いはもう秋だったね。サポートメンバーが全員黒で決めていたこともあって、ステージの中央でひときわ鮮やかだった。アンコールでは一転して白のオリジナルTシャツ＋シルバーのロングスカート。キャップも似合っててかわいかったわ〜。
■MCは比較的短めだったけど、2周年をWWWXでやることは、前年1周年ワンマン（club asia）をやった直後に決めた…といった話など。キャパが一気に倍以上になるので、スタッフからは「本当にできるの？」と訊かれたらしいけど、目標があった方が頑張れると思ってあえて大きな会場にしたのだそう。ソロの場合はすべての結果が自分に返ってくる。そのプレッシャーは想像以上に大きなものなのだろう。それだけにこの日、多くのファンが集まったことは彼女の自信にもなったのではないだろうか。
■告知関係では、11月に「やさしい嘘」がNEWシングルとしてリリースされることを発表。そのために2ndアルバムには収録していなかったのだとか。他にも「Callin' You」のハウスリミックスの配信リリース、1stアルバムの配信スタートなど。サブスクリプションも解禁になるのかな？
■終演後は集合写真撮影。お約束の「アップ・アンド…」「 カミン！」で締める。
■全17曲、約1時間49分（アンコール2回含む）。

最新アルバムについてはリリースイベントも多数行われていたのだが、日程がよくて行きたかった日がたまたま台風の影響で延期になったりして、結局ゴールデンウィークのワンマン以来、約4カ月半ぶりに見たステージだった。やっぱり彼女のライブは聴きごたえあるので、次はそこまでインターバルが空かないうちにまた見たいね！

開演19時30分→終演21時19分。

2018/09/08　ニコニコ♡LOVERS　秋葉原 AKIBAカルチャーズ劇場（ワンマン）

「ニコラバカルチャーズ撮可ライブ」。ニコラバのライブも初見ならAKIBAカルチャーズ劇場に行くのもお初。開演2時間前までにネット予約すれば前売り料金になるという便利なシステムを利用して当日予約で行くことに。それほど混んでなかったのと、MIXを打ったりするような熱いファンはわりと後方に位置どりする現場らしく、あっさり3列目センター寄りの席を確保することができた。

この日ニコラバを見に行った理由。それは、オリジナルメンバーで現在はリーダーの雨宮ういりさん（ういりん）がお目当てだったといっていいだろう。彼女については2015年頃、今とは違う名前で撮影会モデルやコスプレイヤーとして活動していた頃に知り、一種のSNSアイドル的な感じでファンになっていた。まだニコラバが立ち上がる前だ。ただ、その後のニコラバでの活動に関しては、特に曲が好みというわけでもなかったこともあり、たまにネットでチェックするくらいだった。
ところが、この日も何気なく最近のライブ映像を見ていると…「なんかステージ楽しそう」と思えてきた。調べてみると夕方からライブがあるではないか。しかも持ち時間の短い対バンイベントなどではなく、ちゃんとした定期公演らしい。そうなると急に生のういりんを見てみたくなった。思い立ったが吉日だ。速攻で当日予約を入れ、会場に向かったのだった。

○「ニコニコ♡STREET」　オープニングアクトでニコラバの妹分（？）のニコストが登場。メンバー7人でのステージ。サウンドはバックトラック使用。それぞれ色分けされた衣装にケモミミ。ウサギイメージのニコラバに対して、こちらはネコがコンセプトっぽい。歌詞に「ニャン」が入る曲がけっこうあったり。曲の傾向はニコラバに近い感じかな。アイドルらしいかわいい曲によるゆる〜いパフォーマンス。みんなまだ若そうだ。平均年齢は高校生くらいだろうか。全6曲、約25分。

○「ニコニコ♡LOVERS」　お目当てのニコラバ。メンバー7人でのステージ。全員そろうことばかりでもないようなので、初回にフルメンバーでのライブを見ることができたのはラッキーだったね。サウンドはバックトラック使用。そしておそらくリップシンク。
ステージは全員で6曲歌った後、ユニット曲コーナーとなる。ソロ曲5人で6曲＋4人ユニットで1曲。告知ビデオ上映をはさんで、全員でアンコール2曲…という構成。1時間ちょっとなのだが、MCがあまりなく全15曲をどんどん歌っていくので、かなり聴きごたえはある。見どころは…やはり「ういりん、かわいかった！」ということかな。グループに明確なセンターはいないようだけど、メンバーの中ではキャリアの長い彼女がフォーメーションの中心に立ったり、歌い出しを担当したりすることが多い。自然と目にも入ってくるし、ステージが近いこともあって、その魅力をばっちり感じることができたね。久しぶりに見た純粋にアイドルらしいステージ。楽しい時間を過ごすことができた。

■もともと撮影会モデルを集めたユニットとしてスタートしているニコラバ。公式サイトにも「歌とダンスが上手じゃないところも可愛さでカバー♪ 温かい目で見守ってください」とあるように、パフォーマンスを期待するのは筋違いというグループでもある。ところが、OAで出たニコストちゃんたちが、それ以上にゆるいので、続けてニコラバを見ると「あら、意外としっかりしてるかも…」と思えてしまう効果が発生している！
■かわいさがウリなので衣装は凝っている。乙女系というかプリンセス系というか…とにかく女の子らしくてふわっとしたスタイル。衣装がしっかりしているアイドルはやっぱりいいね。ユニット曲、ソロ曲では一部衣装替えも。ういりんも加わった4人ユニットの制服コスもかわいかったわ〜。
■楽曲は、素人でも歌いやすそうなアニソン風、あるいはボカロっぽいアッパー曲が中心。こちらも基本かわいい系で、あまりロックっぽい曲はないようだ。ライブで聴くには可もなく不可もないレベルだけど、緩急がないので、続くとちょっと飽きてくるかな…。ユニットではカバー曲も。この日は放課後プリンセスの「ジュリエット」。初期AKBっぽい雰囲気でなかなか。
■MCは少なめ。シンプルな自己紹介と告知が中心。
■「本業」が撮影会なので、ニコラバのライブは宣伝も兼ねて基本撮可（動画はNG）。この日も前方の席はカメラを持った人がほとんどだったね。それ以外のファンもサイリウムを持ってたりして手がふさがっているので、ライブ中とにかく拍手の圧が弱い！ 曲が終わってもパラパラ…くらい。これほど盛り上がっているのかいないのかわかりにくい現場は初めてだった。ちょっとメンバーが気の毒と思ったくらい。MIXを打つような声の大きいファンが後方なのでうるさくないのは良かったけど…。
■ういりんはステージでの表情が豊かで見ていて楽しい。同じ表情を続けないのは、撮影会モデルの経験で得たテクニックなのだろうか。声質も個性的でグループ内のアクセントになっている。ますますファンになってしまった。
■ういりん以外のメンバーで印象に残ったのは、谷口彩菜さん、西條真未さん。
■全15曲、約1時間14分（アンコール含む）。

【追記】 公式ライブ動画で確認したセットリストは、「SWEET SMILE AGAIN」「卒業するまで待っててね」「Shiny Heart」「夢見る恋ウサギ」「私だけのストーリー」「Summer Magic」「小悪魔なんて言わないで」「最上級のI LOVE YOU」「Distant sky」「バタフライガール」「いちごプリンセス」「いちごの森のパーティ」「ジュリエット 〜君を好きな100の理由〜*」、アンコールで「伝説のうさ耳ティアラ」「ONLY MINE!」…の全15曲。（*印＝カバー）

初上陸だったAKIBAカルチャーズ劇場は基本座りの会場。けっこう見やすくてよかったね（最後方のみ立ち見）。同じ秋葉原のAKB48劇場を思い出して懐かしさもあったり。ただ、背もたれのないベンチスタイルなので、待ち時間も含めて2時間も座っていると、後半は正直背筋が辛かった…。

開演18時→終演19時42分。

2018/08/30　WHY＠DOLL、WAY WAVE　渋谷 Glad

ほわどる主催のツーマンライブ。この日の対バンはWAY WAVE。このライブの告知を見るまでまったく知らなかったのだけど、ANNA☆Sというアイドルグループから派生した姉妹ユニットとのこと。ネットで曲を聴いてみるとなかなかいい感じ。ほわどるももちろん楽しみだけど、WAY WAVEも期待できそう…ということで。おなじみのそれぞれ2回ステージ方式でのツーマン。

○「WAY WAVE」　先攻はWAY WAVE。杏奈（姉）と優奈（妹）の本当の姉妹による2人組ユニット。MCによると小学生の頃からアイドル活動しているそうで芸歴はもう10年近い。同じくANNA☆Sの派生ユニットである「うどん兄弟」でも活動。これはけっこう話題になっていたので名前は聞いたことがあったけど、ライブや作品にきっちり接する機会はこれまでなかった。
音楽的には、現代的なアレンジのR＆Bがベースになっている。WAY WAVE＝「うぇいうぇい部」なので、そのまんまなら、いわゆるパリピ御用達音楽であるEDMなどをやりそうなものだが、よりオールドスタイルなサウンド志向だったのはちょっと意外だったかな。そして、何といってもこのユニットの持ち味は2人のパワフルなボーカル！ アイドルソングというよりもソウルやゴスペルをやるグループのイメージだ。姉妹そろってすごくうまい。オリジナルに加えて、「You Can't Hurry Love」や「Lovin' You」といった有名曲の英語カバーも。アウトロをアカペラで歌ったりけっこう本格的。短い一回目のステージで強烈に印象づけられた。全5曲、約15分。

○「WHY＠DOLL」　後攻はほわどる。たまたまだが前回見た時に引き続いて「キミはSteady」MVバージョンの衣装。かわいいから好きだけどね。セットリストは、「Show Me Your Smile」「shu-shu-star」「恋なのかな？」…の全3曲。
パワフルなWAY WAVEのステージに煽られたのか、おなじみの曲もいつになくダイナミックなパフォーマンス。アッパー3曲、フロアのファンも盛り上がって一気だったね。でも、持ち味であるエレガントな雰囲気もしっかりキープしていたところはさすが。いつ見てもきれいな振り付けの動きに感心させられた。WAY WAVEの2人とは、ほわどるがまだ北海道を拠点にしていた頃からのつきあいだそう。気心知れた対バン相手ということで、MCからも楽屋の楽しい雰囲気が伝わってきたんじゃないかな。全3曲、約14分。

○「WAY WAVE」　2回目のステージは衣装をチェンジして登場。前半のお腹の見えるスポーティーなスタイルから、後半は50年代風のストライプワンピース（色違い）に。ほわどる主催のツーマン、何度か見たけど途中で衣装替えしてくれたのは彼女たちだけ！ サービス精神がうれしいね。
このステージでは自作曲も披露。作詞・作曲・DTMにも挑戦中だそう。姉・杏奈さんの「B級女」はファンクなサウンドと一ひねりある歌詞、妹・優奈さんの「祭りばやし」はJ-POPらしい和風な曲調…とそれぞれの個性が出ている。まだ修行中と謙遜していたけど、聴いた限りでは普通に完成度十分でしょ、という感じ。その他にも「佐野元春さんに影響されて歌詞を書いてみた」という新曲「Hello New Wave」もお披露目。英語まじりのラップ…ということは「VISITORS」の頃の佐野元春だろうか…。そんな制作裏話を語ってくれるMCも楽しかったね。
唯一の予備知識として聴いていた最新ナンバー「SUMMER GIRL」も歌ってくれた。この曲はシティポップ調。彼女たちとしては新しい引き出しという位置づけになるのかな。でも、しっかり歌い切っていてボーカルとの相性もとてもよく思えた。R＆Bよりはイマドキっぽさを感じさせる曲でもある。とにかく非常に盛り沢山なステージで楽しめたね。全7曲、約28分。

○「WHY＠DOLL」　ほわどる2回目のステージのセットリストは、「Don't Ask Me Why」「Dreamin' Night」「Tactics」「菫アイオライト」「Tokyo Dancing」…の全5曲。
2曲目「Dreamin' Night」は、WAY WAVEからのリクエスト。また、最後の「Tokyo Dancing」ではお客さんと一緒に「♪ウォ、ウォ、ウォウォウォ〜」と歌うパートを、「♪ウェイ、ウェイ、ウェウェウェ〜イ」に替えて歌いましょうという演出も。MCもWAY WAVE絡みの話題がほとんどだったし、とにかくWAY WAVEとの対バンが楽しくて仕方ないといったほわどるちゃんなのだった。ちなみに、個人的には「今回は聴けるかな？」と期待していた最新曲「Sweet Vinegar」、この日も聴けず。C/Wの「Don't Ask Me Why」はまっさきに歌ってくれたのだが…。「Sweet Vinegar」をライブで聴ける日はまだ先になりそうだ。全5曲、約29分。

最後は恒例の「コラボステージ」。まずはメンバーシャッフルで2曲。ちはるん＆杏奈コンビで「CANDY LOVE」、はーちゃん＆優奈コンビで「ベクトル」。WAY WAVEの2人は複雑なほわどるの振り付けを完璧にコピーしていてお見事。最後は、全員で「Please Mr. Postman」を英語でカバー。もともとはモータウンナンバー（マーヴェレッツ）ということでWAY WAVEの持ち歌のようだ。初めての組み合わせでどの曲も新鮮に聴けたね。コラボ3曲、約21分（プレゼント抽選会含む）。

WAY WAVEの小池姉妹はとても見分けやすく、杏奈さんは若い頃の山口智子風、優奈さんはTPD時代の穴井夕子風…と見たのだがいかがだろうか。2人とも細いのに歌声は本当にパワフル。爽やかなほわどるちゃんとのコントラストでまさに二度おいしいツーマンだったね。

開演19時→終演20時53分。