2019/04/07　寺嶋由芙、河野万里奈　新宿 HMV record shop 新宿ALTA（インストア）

同じ事務所、同じレコード会社のソロアイドル2人による合同リリースイベント。スタートの2時間ほど前にゆっふぃーのツイッターで知り、ちょうど時間帯も良かったので行ってみた。約1カ月前にはこの組み合わせにもう1組加えたスリーマンでの合同イベントも見ている。どちらもそれ以来のステージ。

○「河野万里奈」　先攻は河野さん。バックトラックを使った1人でのステージ。セットリストは、「その声を覚えてる」「FOCUS! FOCUS!」「花痕 -shirushi-」「真人間入門」…の全4曲。5月のリリースまでの間に多数予定されているイベントすべてで「打順」（セットリスト）を変えるように工夫しているという河野さん。この日は自身のシンガーとしての歴史を表現できるような曲…をテーマに選曲したそう。
2曲目の「FOCUS! FOCUS!」はデビュー曲よりも前に、初めてレコーディングした曲。3曲目の「花痕 -shirushi-」はフリーになる直前の楽曲で、再起までの間ずっとそばに寄り添ってくれた曲でもある…そんな話も聞かせてくれた。いずれも「河野マリナ」時代のナンバーだが、「こうして以前の曲も歌いますが、私は過去は振り返りません。新しい気持ちで歌えば古い曲も新曲になる…そう思いながら歌っています！」とのこと。その言葉通り、この日もすばらしい歌への集中力を見せてくれたと思った。一つのステージ、一曲を大切に…というスタンスは、歌えない期間が長かった彼女だからこその切実さから生み出されているのだろう。コンパクトなライブながら、そんな気合がダイレクトに伝わってきた。
MCでは、レコ発ワンマンの告知も。「"神宮球場に近い"青山RizMで開催します」というところも彼女らしい。そういえば会場には神宮でのデーゲーム帰りとおぼしき野球ファンの姿もあった。野球好きアイドルとしても浸透しつつあるようだ。全4曲、約24分。

○「寺嶋由芙」　後攻はゆっふぃー。同じく1人でのステージ。セットリストは、「天使のテレパシー」「ラストシンデレラ」「101回目のファーストキス」「いい女をよろしく」…の全4曲。こちらは「春らしい雰囲気」をテーマに選曲されていたようだ。
登場するとさっそく、「万里奈ちゃんに教えてもらったんだけど、今"銀次"がトレンドワードらしいですよ」。楽天の銀次選手が本職ではないキャッチャーをやり、なおかつ盗塁を刺した…というニュースなのだが、野球初心者のゆっふぃーの説明はまったく要領を得ないもの。しかし誰も突っ込まずニコニコ…というのはアイドル現場らしいところだろう。
2曲目からはステージに椅子が登場。「はるちゃん」という名前もあるらしい。ここから2曲は最後方以外のほぼ全員のお客さんが床に座って聴く態勢に。比較的ステージに近いところからだと、思い切り仰ぎ見る形となる。たしかにこの角度は新鮮ではあったが、果たして歌を聴く姿勢として適切なものかどうか…。ゆっふぃーも、ずっと椅子に腰かけているわけではなく、半分以上は立って歌ってたしね。ちなみに「ラストシンデレラ」を聴いたのはこの日が初めて。ボサノバっぽいリズムのミディアムナンバーだったかな。もう少しじっくり聴きたかったね。
ラストの「いい女をよろしく」は再びスタンディングで盛り上がる。ライブで聴くと、ハロプロっぽいリズムや振り付けが随所に取り入れられているのがよくわかった。曲中何度もある「指さし」の振りは、たまたまその正面に立っていた関係で楽しい体験となった。全4曲、約25分。

会場にわりと早めに着いたので2列目の良い位置で見ることができた。2組で正味50分ほどのイベントだったけど、同じソロアイドルといってもまったくタイプが異なるので、見ごたえ＆聴きごたえがあったね。けっこうあっという間に感じた。急遽出かけたイベントだったけど楽しい時間を過ごせたね。

開演18時→終演18時55分。

2019/04/04　町あかり、大石理乃、星野みちる、Bury、てのひらえる　高円寺 HIGH

「Beat Happening ! 高円寺POP PANIC !」。おなじみのビーハプに星野みちるさんが初登場ということで。平日でもあり入場してみるとフロアにはまだかなり余裕がある。とはいえ途中から入ってくる人もけっこういたようで、終演時にはほどよく埋まってた感じだろうか。自由に立ち位置を変えながらゆったり見ることができた。

○「てのひらえる」　予備知識なしでの初見。パンクロック系ソロアイドルといえばいいのかな。全身黒の衣装や鋲のついたアクセサリーなどはロックっぽいけど、かわいいルックスやショートパンツから伸びた健康そうな足からはアイドルらしい魅力が感じられる。バックトラックを使った1人でのステージ。
楽曲はスピード感のある青春パンクとアッパーなシンセポップが半々くらい。小柄な身体をめいっぱい使ったダイナミックな振り付け、さらにフロアへの煽りなど全力のパフォーマンスは見てて気持ちいい。いちばん印象に残ったのは「線香花火」（ガガガSPのカバー）。原曲の良さも当然あるのだろうが、てのひらえるさんの歌唱もその良さをしっかり引き出していたと思う。真夏のオールナイト野外フェスとかで聴いてみたくなった。全5曲、約25分。

○「Bury」　こちらも予備知識なしでの初見。「ベリィ」と発音する。3人組"哀愁メロディックパンクアイドル"。ただし、衣装は全然パンクでもロックでもなく、白を基調にしたテニスルックみたいなもの。最初はやや違和感があったのだが、不思議なことに、アッパーなロックサウンドとともに、彼女たちのどこか演劇的な要素もある振り付けやフォーメーションの変化を見ているうちに、「これはこれでアリなのかも…」という気になってきた。音楽性はまったく異なるが「nuance（ヌュアンス）」のスタイリッシュなパフォーマンスになんとなく通じるところもあるような…。ビーハプらしいアイドルという感じだろうか。全6曲、約25分。

○「星野みちる」　ライブを見るのは約1カ月ぶり。ただ、現在のピアノ弾き語りスタイルでの彼女をライブハウスで聴くのはこの日が初めてだった。セットリストは、「ずっと一緒さ」「ディスコティークに連れてって」「ONE-TIME LOVE」「キライよ」「ロックンロール・アップルパイ」「逆光」…の全6曲。
オープニングは山下達郎のカバー。以前にもアルバムで歌っていた曲だ。ワンコーラスだけだったけど、それまでパンクロックが続いていたステージをあっという間に彼女の世界に塗り替えてしまう。2曲目、3曲目はもともとシティポップテイストだったオリジナルを、ピアノのみのアレンジにリメイクしたナンバーが続く。音源のカラフルなイメージを残したピアノのアレンジなので、弾き語りではあるが、とても聴きごたえのある仕上がりになっている。同時に、演奏しながら歌うのはかなり難しそうでもある。普通ならサポートピアノの人がいる時に使うような譜面かもしれない。でも、しっかり弾きこなしてたね。毎日相当練習してるんだろうな…というのが伝わってきた。一転して後半は、どちらかといえば歌に集中できる曲がまとまっていた感じかな。じっくり、あるいはのびのび聴かせる歌声に惹きつけられているうちにあっという間に時間が過ぎていった。
MCでは、「高円寺に来たのは初めて」「普段髪のトリートメントをしてないと言ったら美容院でびっくりされた」といった話など。衣装は光沢のあるローズピンクの大人っぽいワンピース。見た目は落ち着いてるのにトークのエピソードはドジ話ばかりというのが彼女らしい。全6曲、約32分。

○「大石理乃」　ライブを見るのは約2カ月ぶり。ボーカル/ギターにバックトラックも併用。1人でのステージ。セットリストは、「東京LOvE STORY」「中央快速ハミングバード」「ドーテイスーサイド」「マイケル一族の数奇な人生」「りんごの木」…の全5曲。
1曲目を聴きながら、「あら、リップシンク？ 喉でも傷めた？」と思ってたら、終わったところで「今の曲は口パクでした。気づいた人！」。彼女独特の"おちょくり"だったようだ。続く2曲目ではお約束の「茶番劇」を発動。「今日は早いな…」と言いながらちゃんとつきあってあげるオタクの皆さん。4曲目は「センチメンタルじゃあね」とどっちがいい？とお客さんに手をあげさせて決めるなど、最初から最後まで大石理乃さんらしいワールド全開のステージ。全5曲、約25分。

○「町あかり＆カシオボーイ」　町あかりさんのステージを見るのは約5年ぶり。原色を大胆に使った派手な衣装にトレードマークのピコピコハンマー。サポートでキーボード/マニピュレータのカシオボーイ（佐藤優介氏）が加わった2人での演奏。
本当に久しぶりだったけど、彼女の実力を改めて感じることができる内容だった。とりわけ印象に残ったのは、まず提供曲のセルフカバー「長所はスーパーネガティブ」。歌詞は彼女らしいコミカルなものなのだが、もう圧倒的な歌唱力に思わず引き込まれた。うまい歌を聴く楽しみ、それを純粋な形で思い出させてくれるような歌だったのではないだろうか。そしてもう1曲はラストの「最高のセットリスト」。彼女の作品の中でいちばん好きなアルバム「あかりの恩返し」の冒頭を飾っていたスーパー名曲だ。この曲をライブで聴くのは初めて。やはりここでも名曲をより名曲たらしめるすばらしい歌唱にうならされた。
楽曲のコミカル要素をどれくらい許容できるかで彼女への評価は変わってくるような気がするのだが、ライブでのパフォーマンスがこのレベルだとまた改めて聴いてみたいなという気がムクムクと起こってきた。まずは最近の楽曲の音源をチェックしてみようかな。全8曲、約30分。

終演後、珍しく物販で星野みちるさんのワンマンチケットを買いたいなと思ったのだが列が長くて断念。サインとかもしてるので一人一人に時間がかかるのよね。とはいえ、この顔ぶれのイベントが高円寺で見られるというのはとてもうれしい。ビーハプ、今後も期待したいね。

開演19時→終演21時30分。

2019/04/03　ニコニコ♡LOVERS　秋葉原 AKIBAカルチャーズ劇場（ワンマン）

「山内ゆあデビュー公演☆ニコラバカルチャーズ撮可ライブ〜ゆあゆあしよっ」。平日のニコラバ定期公演（オープニングアクトあり）。ちょうどニコフェス（3/10）で新加入が発表された山内ゆあさんのお披露目でもあった。予約状況を見ると山内さんのファンが多めだったのかな。とはいえ、めちゃくちゃ混んでるというほどでもなく、下手側3列目というまあまあの席で。

○「地獄まで30センチ」　オープニングアクトでニコグル第4のグループ「じごさん」が登場。3月に活動開始したばかりだが、当初の4人がすでに2人になっているなど、まだ安定するところまではいってないようだ。この日はその2人でのステージ。サウンドはバックトラック使用。グループ名に「地獄」とあるところからも想像できるように、楽曲はメタル的なロックサウンドに寄せたアレンジのボカロポップ。こういうのが好きな人にはいいのかもね。途中のMCでは、新メンバー候補生3人を紹介。1カ月程度の研修期間を経て、合格したら正式にメンバーに昇格…ということみたい。たしかに2人では物足りないからメンバー補充は急務だろうね。全3曲、約15分。

○「ニコニコ♡STREET」　メンバー7人でのステージ。ニコフェスで紹介されていた新メンバー2人が加わった現体制でのライブを見るのはこの日が初めて。セットリストは、「運命なんてニャニャニャニャーン」「ニャンダフルドリーマー」「Happy Morning」「ハッピーニューイヤーおもち」「世界共通言語ネコ語計画」「ニャタデーナイトフィーバー」…の全6曲。
「ゆるかわ」が持ち味のニコストちゃん。7人になってもそのへんは変わらない。そんな中でも、ついつい目が行ってしまうのは動きにいちばんキレがあって、パフォーマンスで全体を引っ張っている印象の石原すずかさん。特に誰かを推してるわけでもないのだが、彼女みたいなタイプの魅力を発見できるのもグループアイドルのおもしろさかな。この日も「撮可ライブ」なので、曲の間も多くのお客さんがガンガン写真撮影している。さらに全曲歌い終わった後、改めて全員でポーズをとってくれる撮影タイムも。全6曲、約25分。

○「ニコニコ♡LOVERS」　3月末に2人が卒業したニコラバ。新メンバー・山内ゆあさんを迎えた6名体制での初ライブとなった。さらに新衣装もこの日がお披露目。新年度（新学期）にふさわしいフレッシュな雰囲気でのステージだったね。
セットリストは、「夢見る恋ウサギ」「HOPPiNG NOW」「私だけのストーリー」「二人のサマーショット」「Summer Magic」「いちごプリンセス」「Distant sky」「オレンジバニーガール」「最上級のI LOVE YOU」、アンコールで「伝説のうさ耳ティアラ」「半分魔法少女」…の全11曲。

注目はなんといっても新加入の山内ゆあさん。少なくとも1カ月前には決まっていたわけだから、この日までしっかりリハーサルを重ねてきたのだろうということがうかがえたステージだった。ソロ/ユニット曲を除く7曲をあぶなげなくパフォーマンス。振り付けだけでなく複雑なフォーメーションもきびきびこなしていた。もともとは撮影会モデルとして活動していた彼女だけど、ステージで歌って踊るアイドルにもけっこう興味を持っていたのかもしれない。そうでないと、最初からなかなかここまではできないのではないだろうか。
MCで聴けた生の声はけっこう「アニメ声」。ファンからの質問に答えるコーナーでは、「タピオカが好き」「遠征してみたいのは沖縄、北海道、中国」「ニコラバでやってみたいのはワンマンライブ」「好きな曲は『私だけのストーリー』」…といった情報が得られた。すでにメンバーなのに「ニコラバさん」と言ってしまうあたりはまだ遠慮があると思うので早めになじんでほしいね。

■新衣装はあいかわらず超かわいいデザイン。細かいところは全員違っていて、コンカフェのウェイトレスっぽさもあるけど、よく見ると全員片足にストッキングをとめるベルトを着けてたりしてセクシー要素も。夏に向けて露出度も多めかな。
■いつも拍手やアンコールの声が少なすぎるニコラバ定期なのだが、この日はそのへんがやや多め。これも山内さんのファンが新たにニコラバに流入してきた効果なのだろうか。
■ユニット曲では「オレンジバニーガール」（こんなのはじめて）を聴くことができた。3/10の初演時には衣装に気をとられて曲があまり入ってこなかったのだが、後で音源を聴きなおすと、これがかなりの良曲。事前にSNSで「やります」という情報が流れていたので、けっこう楽しみにしていた。あらためてライブで聴いた印象は…音源の方が曲の良さが伝わりやすい、ということかな。音響の関係もあるのだろうが、ステージではなんとなく「ごちゃっ」としてしまうようだ。メロディーの良さをライブでももっと出せるといいのだが。
■この日の雨宮ういりさんは、髪に少しウェーブをかけて、大人っぽさとかわいさのバランスが絶妙。とてもよかったね。ただ、彼女を見るなら下手側よりも上手の方がいいことも再確認。次回はぜひ上手の席を狙いたい。
■告知動画では「ニコフェス」のライブDVDリリースの発表も。メンバーとリムジンに同乗して豪遊できる…的な購入特典のイメージ映像も流されていたが、そのためには何枚買う必要があるのだろうか。想像するだけで気が遠くなりそうだ。もちろんそんなところに手を出す気はないのだが。
■全11曲、約1時間（アンコール含む）。

約1カ月ぶりのニコグル。この日も"きゃわわわ"だったね。珍しく山内ゆあさんを迎えての長めのMCコーナーもあったのだけど、彼女たちの弱いところはこの「トーク」かなという気も。これでおしゃべりも楽しかったらステージの値打ちもさらに上がるのではないだろうか。

開演19時15分→終演20時58分。