2022/06/04　キノコホテル、アーバンギャルド、NaNoMoRaL　西永福 JAM

「西永福JAMプレゼンツ 『MAX NIGHT!!』 -NISHIEIFUKU JAM 4th ANNIVERSARY-」。同ライブハウスの周年恒例企画となっているキノコホテルとアーバンギャルドのツーマン。NaNoMoRaLはオープニングアクトで出演。開場は定刻の30分前だろうと思い込んだまま現地に行くと、じつは1時間前だった。当然お客さんのほとんどはもう入場済み。オールスタンディングでほぼ満員だ。中段やや下手寄りで。

○「NaNoMoRaL」　ライブを見るのは約1年4カ月ぶりで2回目。メンバー2人でのステージ（女性ボーカル、男性ボーカル/マニピュレータ）。サウンドはバックトラック使用。
編成は最小限の2人だが、そのサウンドは男女ツインボーカルのロックバンドそのもの…という印象は前回と同じ。それに加えてこの日感じたのは、けっこう青春パンク的な前向きでポジティブなエモーションの強力さだった。ぱっと聴くと青くさいと感じるような要素でもあるのだが、フロアに向かってその思いを一途に投げかけてくるようなパフォーマンスを見ていると、しだいにその世界に引き込まれていく。最後の曲あたりになると思わず胸に熱いものがこみ上げてきそうになる瞬間も…。これは弱っている時などに聴くとめちゃくちゃ刺さるだろうなという気がした。オープニングアクトなので短めのステージだったが、会場にばっちり勢いをつけてくれた。全5曲、約25分。

○「アーバンギャルド」　ライブを見るのは約3年ぶりで10回目。前回も同じ会場でのキノコホテルとの対バン（JAM移転1周年イベント）。メンバー3人（ボーカル×2、キーボード）＋サポートでベース、ドラムス。5人でのステージ。
セットリストは、「ラブレター燃ゆ」「スカート革命」「水玉病」「自撮入門」「クラブ27」「アルトラ☆クイズ」「ファンクラブソング」「あくまで悪魔」「ワンピース心中」「ダークライド」…の全10曲。

アーバンギャルドは現在15周年のメモリアルイヤーを迎えている。バンドとしてはけっこう長いキャリアである。ライブのスタイルなどは基本的には以前と変わってないが、同時に随所で「成熟」を感じさせるステージになっていたと思った。少年少女の心の声を代弁するという、ある種の未成熟が求められるコンセントはそのままに、バンド自体は成熟していく…というのは相当難しいことではないだろうか。しかし、今のアーバンギャルドはそれを実現しつつあるようだ。3年というインターバルの後に見たのでよけいそう感じられたのかもしれない。
セットリストは新旧曲をミックスしたもの。おなじみの曲に加えて、ライブで聴くのははじめての最新アルバム「アバンデミック」からのナンバーも新鮮だった。その中でいちばん印象的だったのは「クラブ27」だったかな。大人といえる年齢になっても少年少女の心に寄り添うバンドのスタンスを表している曲のように思えた。リラックスしたMCの後は一気の盛り上がり。久しぶりに味わうアーバンギャルドならではの味わい。やっぱりいいね。終わってみればあっという間のライブだった！

■以前は「セックスは好きですか〜？」とやっていた曲前の煽り？が新しくなっていた！ 松永氏がいきなり「バンドでありながらホテルの名前がついているのは？」とクイズを出題。答は当然「キノコホテル」。しかし浜崎さんとおおくぼ氏がわざと間違えてボケる。かつては松永氏だけでやっていた煽りが今はチームプレーになっている。そんな楽しい小芝居ではじまるのは「アルトラ☆クイズ」。いい流れ！
■松永氏のラップがフィーチュアされる曲、けっこう増えた印象。音源にはなくても、ライブバージョンでは入るというパターンもありそうだ。
■歌ってる時は表情も声もクールビューティな浜崎さんが、MCでのトークになると急に親しみやすく和やかになる感じもいいね。この日の衣装は原点回帰の赤の水玉ワンピース。
■MCでは「コロナ以降、対バンはキノコホテルとしかやってない」という話など。ライブはほとんどワンマンと"鬱フェス"などの自主企画だそうだ。松永氏は「呼ばれない」と言っていたが、冗談なのか本当なのかはよくわからなかった。ちなみにキノコホテルとは2012年の青森での"夏の魔物"が初対面。酔っ払った東雲支配人が電柱によじ登ったというエピソードなども披露。
■全10曲、約58分。

○「キノコホテル」　全員赤・黒のおそろいの制服で登場。ライブを見るのは約3年ぶりで7回目。メンバー4人でのステージ（ボーカル/キーボード、ギター、ベース、ドラムス）。このうちベース、ドラムスのリズムセクション2人はこの1年以内に加入したメンバーとなっている。

もともとパワフルなサウンドが持ち味のバンドだが、この日とりわけ印象に残ったのはベースの強力さだった。キノコホテルの代名詞ともいえる終始鳴ってるファズギターやオルガンが脇役に思えてくるくらい、圧倒的にベースが歌っている！ これは相当なものではないだろうか。ものすごく気持ちよかったわ〜。
そんな新たなバンドのカラーを生かすべく…かどうかはわからないが、全体に歌謡っぽいメロディアスな要素が増していたように感じた。前回（3年前）は、70年代のマイルスバンドを思わせるようなインストゥルメンタルロック的サウンドが爆発していたのだが、それが本来のネオGSにより近いものに回帰している印象。特に中盤ではややシフトダウンして、はっきり「歌もの」を意識したテイストの曲を続けるパートも。リズム隊が変わるとバンドも変わるとよく言われるが、非常に興味深く聴いた。キノコホテルもちょうど結成15周年。しかし、そのサウンドは確かな軸を維持しながら常に現在進行形で新しくなっている。とてもフレッシュな感覚で聴けた！

■もちろんこれぞキノコホテルという見せ場もしっかり用意してある。終盤の「キノコホテル唱歌」。メンバー紹介にそれぞれのソロパート、さらには東雲支配人がキーボードに乗って大暴れするお約束の展開も。フロア後方からでもセクシーなヒップラインがばっちり確認できたね。
■本編1時間以上の後、さらにアンコールも。クラフトビールのグラスをぐいっと飲み干してラストスパートの2曲。最後の「もえつきたいの」ではアーバンギャルドの3人も再登場してセッションとなる。サウンドとともにステージから放たれるエネルギーも高密度。聴きごたえあったわ〜。
■全15曲、約1時間18分（アンコール含む）。

アーバンギャルドのステージをはじめて見たのは2010年3月。一方のキノコホテルは2010年12月。12年前というほぼ同時期から見ている2バンドを一緒に見られたイベントだった。これだけの期間バンドが続いていること、そして自分が興味を持ち続けていること。どっちが欠けてもこの日のステージを見ることはできなかった。次は3年もインターバルをあけずに見てみたい。

開演18時15分→終演21時41分。

2022/05/29　The Pen Friend Club、CHILDISH TONES feat. 宇佐蔵べに　西永福 JAM

ザ・ペンフレンドクラブ主催のツーマン企画「Add Some Music To Your Day」。日曜日の午前中スタートのイベントで、開場も10時45分とけっこう早め。でも、行ってみるとけっこうな人数のお客さんが並んでたね。この日のフロアは椅子ありの着席仕様。整理番号が若かったので最前列席（下手寄り）で。

○「CHILDISH TONES feat. 宇佐蔵べに」　「チャルべに」のステージを見るのは約3年ぶりで2回目。前回も同じペンクラの企画（青山・月見ル君想フ）で、とても楽しかった記憶がある。機会があればまだ見たいなとずっと思っていたのだが、コロナ禍で予約していたライブが流れたりして、結局3年ものインターバルに。そんなわけで満を持してこの日に臨んだ。

メンバー6人（ボーカル、ギター、キーボード、ドラムス、コーラス/パーカッション×2）＋サポートでギター1人。7人での演奏。コーラス/パーカッションの女性メンバー2人は、他にもギターやサックス、リコーダーなどさまざまな楽器を演奏する。もちろん、それ以外のメンバーも使用しているのはすべておもちゃ（トイ）、あるいは子供用の楽器だ。しかし、サウンドにチープさはまったくなく、個性的な響きと同時に一般楽器のバンドとそん色ない迫力やパワーも感じさせる。期待通りのとても魅力的なステージだった。

楽曲はバンドの持ち味でもあるオールディーズ風味のロックンロールやポップス。曲紹介されてた中にはムッシュかまやつのカバーなども。そのへんのサウンドが好きな人なら絶対楽しめるだろう。といっても決して懐メロではなく、ちゃんと現代の音楽になっている。ブルースっぽい演奏にあわせ、書籍を開いて歌詞をリーディングする曲などもとてもおもしろく聴けた。そんなステージをボーカル・宇佐蔵べにさんをはじめ4人いる女性メンバーが全員20代前半という布陣で聴けるのもフレッシュ。いろんな意味で新旧がいい具合にミックスされたグループではないだろうか。
ちなみにサポートギターの人を除くと、リーダー/ギターとドラムス以外は全員女性メンバー。この編成はザ・ペンフレンドクラブと同じ。やってる音楽も20世紀中盤のアメリカ的なロック/ポップスという共通の傾向があるし、共演に違和感がないのもうなずける。この日がバンドデビューだというキーボードの新メンバーをいじるMCなどもリラックスさせる雰囲気でなごめたね。全11曲（くらい）、約45分。

○「The Pen Friend Club」　ライブを見るのは約半年ぶりで11回目。メンバー8人での演奏（ボーカル、ギター、アコースティックギター、キーボード、ベース、ドラムス、グロッケン/スレイベル、テナーサックス）。
セットリストは、「Do I Love You」「土曜日の恋人」「飛翔する日常」「Don't Take Your Time」「夏のペーパーバック」「What A Summer」「微笑んで」「Mind Connection」「チャイニーズスープ」「Good Lovin'」「Fun, Fun, Fun」、アンコールで「Wichita Lineman」「Goodbye to Love」…の全13曲。

この日はおなじみの曲に加えて新しいレパートリーも。その1曲目は「Mind Connection」。アコギ担当のリカさんが作詞・作曲したオリジナル。音源としてはすでにリリースされているが、いろいろあってステージで披露するのはこの日がお初になったそう。ペンクラにとっては新しいソングライターの作品だけど、これまでのバンドのカラーをうまく生かしたサウンドに仕上がっていたと思った。
MCでは、「年内に8thアルバムをリリース。今回は初の全曲オリジナル作品！」という発表も。そこでも平川氏以外にリカさん、ベース担当の西岡利恵さんなどがソングライティイングで参加していることが明らかにされていた。初期衝動だった洋楽のカバーはもうある程度やりつくしたということだろうか。近年のライブでも、オリジナル曲や日本のアーチストのカバーなどが増えていたので、方向性としてはわかるし、楽しみな感じでもある。

初披露の2曲目はアンコールの最後にやった「Goodbye to Love」。曲紹介もなく最初は特定できないでいたのだが、SNSでカーペンターズのカバーだと教えてもらった。ピアノのみの伴奏で歌い出すミディアムナンバー。たしかに美しいメロディーの端々にカーペンターズらしさがあふれている。全曲オリジナルのアルバムをリリースするからといって、新規のカバーをやらなくなるわけではないよ…という宣言でもあったのかな。
この曲と直前の「Wichita Lineman」では平川氏のメロディアスなギターソロもたっぷり。「最近の若者にはギターソロは受けないようですが…」などと言いながら、時代を超えて自分の好きなものにはこだわりぬく姿勢。やはりそれがペンクラの原点でもあるのだろう。インストのソロ大好物者にとってはライブの最後を飾る聴きどころとなった！ 全13曲、約59分（アンコール含む）。

ライブから戻って、チャルべにの楽曲をもっと聴きたい…とサブスクを開くとけっこうあるね。次回までにはこのへんの音源を聴き込んで、多少はセットリストもカバーできるようにしたいもの。休日の昼間を楽しく過ごせた気持ちいいイベントだった。

開演11時15分→終演13時17分。

2022/05/26　ニコニコ♡LOVERS　上野広小路 異世界アイドルシアターニコニコ劇場（ワンマン）

「ニコラバ新体制お披露目公演」。たまたま夕方に仕事のアポイントを入れてしまっており、最初はあきらめていたこの日。ところが開場・開演時間が発表されるとけっこう遅め。これならギリ間にあうわ…とチケットを押さえた。座席は前回見たニコラバ定期（5/10）と同様、最前列席がない仕様。Aチケットで2列目中央に座ったのだが、実質3列目くらいの距離感だった。平日だとこうなるのだろうか。

メンバー5人でのステージ。セットリストは、「私だけのストーリー」「夢見る恋ウサギ」「only mine!」「星屑Magical」「純愛モンスター」「半分魔法少女」…の全6曲。

ニコラバの新メンバーは「落合美梅（みう）」さん！ 5日前の5/21にSNSでお披露目公演のスケジュールとあわせて発表された。ネットで調べると3月に解散したワンチャンアリーナの元メンバーで、アイドル経験は約1年半。現在20歳だそう。ニコラバでは最年少ということになる。ニックネームはおっちぃー。

オーバーチュアとともにメンバーが登場してくる。おっちぃーは下手端なので最後。衣装はネオパステル。おっちぃーはピンクをベースにしたバージョンだ。1曲目の「わたスト」は、ほぼ移動のない横一列のフォーメーションで歌う。おっちぃーも端っこのまま。2曲目「夢見る恋ウサギ」になるとセンターでスタート。細かく見たわけではないが、基本的には桃音あんなさんのパートにそのまま入っているのかな。

この日は「新体制お披露目」ではあるが、やはり注目はおっちぃーだろう。ニコラバの新メンバーは山内ゆあさん以来なので3年以上ぶり。注目しないわけにいかない。まずステージでの動き。これはアイドル経験者だし即戦力として申し分のないパフォーマンスだったのではないだろうか。6曲ばっちりだったね。これから慣れてきたらどんどん良くなっていきそう。

キャラクターに関してもフレッシュな印象を受けた。最年少だし小柄なので、おねえさんたちの中に妹がひとりまぎれこんだよう。先輩たちにかわいがってもらえそうだ。MCでは「おっちぃーに質問」のコーナーも。既存メンバーがその場で思いついた問いを投げかけていく。休日は何してる？→「動画を見てます」。インドア派かな。好きな食べ物は？→「チーズ、抹茶、ヤンニョムチキン」。西條真未さんと好みが近く、タピオカにもハマってたそう。特技は？→「カメラ。プライベートでは一眼レフを使ってます」。SPPのカメコのみなさんと話があいそうだ。嫌いな食べ物は？→「ないです」。他にも、楽屋に出現した蛾？をつぶしてくれたという話など。ステージでの落ち着きぶりを見ても度胸はすわってそうだ。

グループはメンバーを固定できた方がいいのに決まっているのだが、新メンバーが入って新しい化学反応が起きるのを見るのもそれはそれで楽しいもの。当面はステージでできるレパートリーを増やしていくことが最優先になるのだろうが、これをきっかけにこれまでになかったニコラバの新しい顔も見せていってほしいね。落合美梅さんを加えた新たな5人体制ニコラバ。とても良いスタートを切れたのではないだろうか。全6曲、約32分。

開演19時47分→終演20時19分。